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178.【ビートルズの日】ビートルズが来日した年に発表した、代表的なアルバムのうちの1つ『Revolver』。

2023/06/29

私は、ビートルズの影響で熱心にいろいろな音楽を聴くようになりました。

本日6月29日は、日本ではビートルズの日と定められています。なぜ今日かというと、ビートルズが来日した日だからだそうです。この来日での日本武道館公演を生で鑑賞した人々が羨ましくて仕方がありません。1993年に生まれた私にとっては生まれるだいぶ前の出来事なので歴史的な出来事だという認識なのです。

今回は、ビートルズの7枚目のアルバム、ビートルズが来日した年である1966年の8月発表の『Revolver』を1曲ずつ聴いていきます。

ビートルズの来日は1966年6月29日で、日本武道館公演は6月30日から7月2日まで実施されたそうですので、このアルバムはその後に発売されています。録音は6月21日まで実施されたそうですから、このアルバムを録音して間もない頃に来日したことになりますね。

前回は『Help!』をご紹介いたしましたので、今回は『Rubber Soul』と来るはずですが、『Rubber Soul』は既にこちらの記事でご紹介しておりましたので、今回は『Revolver』をご紹介いたします。

それでは以下から、曲ごとの感想に入ります。私は音楽の専門家ではなく、豊富な知識があるわけではありません。間違いもあることでしょう。平成生まれ、29歳のある一般男性の一意見として軽い気持ちでご覧ください。

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1.Taxman

アルバムの1曲目から、ジョージ・ハリスンが作詞作曲をしてメインボーカルを担当した楽曲の登場です。アルバムの最初の曲になるくらいですから、この時点で「レノン=マッカートニー」コンビと張り合えるくらいの才能を持っていたと言うこともできると考えます。

イントロの「1,2,3,4...」の声から入るのも、粋な構成ですね。初めてアルバムを聴いた時には、「一体、何が始まるんだ?」と期待させるような始まり方です。

その後、特徴的なギターのフレーズによるイントロが始まります。歌詞は、ビートルズ自身が当時のイギリスの税金の制度に苦悩していたことから生まれたようです。あまりにも高額な所得税が課されていたようで、売れっ子だったビートルズが経済的に不安定な状況にあったことは驚きです。

歌詞には当時のイギリスの与党である労働党の党首で首相のハロルド・ウィルソンや、最大野党の保守党の党首のエドワード・ヒースの名前も登場しています。政治家の名前が名指しで登場するとは、攻めた楽曲だなぁという印象です。

ビートルズの有名な楽曲は、それほど政治には関係しない楽曲である印象ですので、この楽曲を初めて聴いた時には驚きました。

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2.Eleanor Rigby

この楽曲は、ストリングス(弦楽器)が印象的ですよね。このようにクラシックの要素をポピュラー音楽に持ち込むことを、バロック・ポップと呼ぶようです。やっぱりストリングスが入ると重厚な雰囲気がありますね。

このストリングスのアレンジは、ビートルズのプロデューサーのジョージ・マーティンによるものだそうです。こちらの『Rubber Soul』の記事でもご紹介した、私が大好きな楽曲『In My Life』におけるジョージ・マーティンのピアノの演奏も本当に好きですから、やっぱりジョージ・マーティンの存在も偉大なものだったと思わされます。

この題名となっているエリナー・リグビーという人物はポール・マッカートニーが作った架空の人物だそうですが、偶然にもビートルズの出身地の街・リヴァプールに同名のエリナー・リグビーという方が実在したというエピソードは驚きです。現在もこの同名のエリナー・リグビーの墓はリヴァプールにあるそうで、ビートルズファンの聖地の1つとなっているそうです。私もリヴァプールを訪れることがあれば必ず訪れたい場所の1つですね。

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3.I'm Only Sleeping

「僕は寝てるだけ」といった訳ができる曲名からわかるように、聴いていると眠くなりそうな曲調です。ジョン・レノンの良い意味で気だるい雰囲気の歌声が素晴らしいです。

アコースティック・ギターの音色が特徴的です。いやぁ、こうやってこの曲を聴きながら書いていると、眠くなってきますね。それだけリラックス効果がある楽曲といえます。

夢の中にいるような不思議な音色は、ジョージ・ハリスンによるリードギターの演奏を逆再生させたもののようです。逆再生を効果的に取り込むとは、ビートルズが本当にいろいろと試行錯誤して音楽を生み出していることがわかります。

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4.Love You To

この曲名は、こちらの記事でもご紹介した『Love Me Do』という曲によく似た名前だということをまず考えます。

ただし、曲調は『Love Me Do』の頃の50年代ロックンロールの影響が色濃く残るものとは大きく異なる、インド音楽の要素が強いものとなっております。

ロックにインド音楽の要素をこれほどまでに取り入れたことが、ビートルズの音楽の革新性を象徴する要素の1つとなっていることでしょう。

この楽曲を作ったのはビートルズの中でもインド音楽に最も系統したジョージ・ハリスンです。ビートルズのメンバーでこの楽曲に参加したのはジョージ・ハリスンとリンゴ・スターのみであることにも驚きです。他には、インドの外部ミュージシャンを起用しているようです。

シタールやタブラといった、インドの楽器が効果的に用いられており、これまでのビートルズの音楽とは一線を画す曲調となっております。

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5.Here, There And Everywhere

やっぱり、この楽曲は本当に名曲です。聴き始めた瞬間からずっと鳥肌が止まりません。心から美しいと思える楽曲です。作者であるポールもお気に入りの楽曲として挙げているようです。

ポールが、アメリカのロックバンド、ビーチ・ボーイズの『God Only Knows』という楽曲を参考にして作曲したと言われております。『God Only Knows』が収録されてる『Pet Sounds』も名盤ですから、いつか特集するかもしれません。

この『Here, There And Everywhere』は名曲すぎて、言葉では書き表せないと思ってしまう名曲です。聴いていると鳥肌が止まらず、楽曲に夢中になってしまい適切な感想が思い浮かびません。

歌詞は純粋な愛を歌ったもので、曲調も愛に包まれた優しさを感じます。ポールによるダブルトラックのメインボーカルは雲の上を歩いているかのような優しい歌声で、ジョンとジョージ・ハリスンによるコーラスも神秘的な歌声に聞こえます。なんというか、他の楽曲の素晴らしさはもちろんですが、この楽曲の際のビートルズはその一歩先を行っているように感じます。

改めて、この楽曲の素晴らしさを噛み締めました。

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6.Yellow Submarine

先程の雰囲気から一転し、リンゴのメインボーカルによるほのぼのした世界観の始まりです。実は私、『1』を聴いてビートルズを本格的に知ったのですが、その頃に特に気に入っていたのがこの楽曲です。

ほのぼのとした、ゆったり楽しい雰囲気が漂っている名曲です。何度も繰り返される「We all live in a yellow submarine」では、ビートルズの4人が肩を組んで横に揺れながら楽しそうに歌っている様子が思い浮かびます。

日本では金沢明子による『イエロー・サブマリン音頭』という題名の日本語カバーが有名ですね。こちらからこの楽曲を知った方も多いと思われます。『イエロー・サブマリン音頭』は訳詞を松本隆が、プロデュースを大瀧詠一が担当しています。このお二方による大滝詠一の不朽の名盤『A LONG VACATION』もいつか特集したいですね。

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7.She Said She Said

「空耳アワー」が好きな私は、この楽曲を聴くと姿勢をよくしたくなりますね。

イントロのギターのフレーズが特徴的な一曲です。リンゴによるドラムがより一層際立った印象を感じます。

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8.Good Day Sunshine

曲名にもなっている「Good day sunshine」のフレーズがキャッチーな一曲です。ポールによるピアノの演奏が特徴的ですが、間奏のフレーズは日本ではザ・フォーク・クルセダーズの名曲『帰って来たヨッパライ』で引用されていることで知られております。

キャッチーで、サンシャイン、つまり太陽光を思わせる爽やかな曲調で私は好きなのですが、評論家の中では好みが分かれる曲調のようです。好みは人それぞれなので、多様な評論を見るのも興味深いです。

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9.And Your Bird Can Sing

この楽曲は、なんと言っても勢いがある楽曲ですね。曲名と同じ「And your bird can sing」のフレーズが非常に力強く歌われております。

ギターのフレーズも力強さがあり、このアルバムに良いアクセントを与えていることを感じます。

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10.For No One

先程の勢いがある曲調と打って変わって、悲しげな曲調のこの曲です。こちらも、クラシックの要素を取り入れた楽曲だそうです。

数百年の歴史があるクラシック音楽をポピュラー音楽とうまく融合させることもやってのけるビートルズなので、クラシック音楽と同様に現在も聴かれ続ける音楽となっているのかもしれませんね。

この楽曲はビートルズが全員参加しているわけではなく、ポール、リンゴの2人と、外部ミュージシャンのホルン奏者、アラン・シヴィルという方の3人で演奏した楽曲のようです。

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11.Doctor Robert

この楽曲には二面性があると感じます。この歌詞で歌われている「ドクター・ロバート」が二面性のある方なのかな、勝手な解釈をしてしまいますね。

ノリの良い曲調で進んでいくこの楽曲ですが、「Well, well, well...」から始まるフレーズのあたりでは曲調がガラっと変わり、新たな一面を見せます。

この2つの曲調の違いが、この楽曲に深みを与えていると感じます。

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12.I Want To Tell You

ギターの静かな演奏がフェードインしていき、ドラムが入り賑やかになっていく導入が印象に残りますね。こちらもジョージ・ハリスンが作詞作曲してメインボーカルを務めています。やはり、他の「レノン=マッカートニー」コンビによる楽曲と比較しても浮いた曲調とならないのは本当にすごいですね。

個人的には「I want to "te"ll you」と、teの音が特徴的なのが気に入っています。ポールによるピアノの演奏が不協和音となっていながらも、不快に感じないのはさすがです。不協和音をも効果的に採用するのは、ある程度経験を積まないとできないことでしょう。

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13.Got To Get You Into My Life

この楽曲は、楽しいイントロから始まりますね。「Every single day of my life(私の人生の一日一日)」というフレーズが個人的には印象的です。このフレーズのように、一日一日を意識しようと改めて思いますね。

外部ミュージシャンによるトランペットやサックスによる音色が、楽しい雰囲気を与えている楽曲です。

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14.Tomorrow Never Knows

やっぱりこの楽曲もこのアルバムの中では特に好きですね。インド音楽の影響が強い楽曲ですが、こちらはジョンが書いて歌った楽曲です。

この曲名も「A Hard Day's Night」や 「Eight Days a Week」のように言葉としては誤りなのですが、同じくリンゴが呟いた何気ない一言を曲名に採用したようです。ここでもリンゴのアイデアメーカーぶりが発動しています。

本当に、唯一無二の曲調ですね。様々な音楽の要素が混在しており、ビートルズを知らずにこの楽曲を初めて聴いた人が何年に作られた楽曲かを正確に当てることは難しいことでしょう。

このような革新的な曲調を、今から57年も前に発明していたことは本当に驚かされるばかりです。ビートルズの登場のおかげで、ポピュラー音楽の発展が急速に進んだことでしょう。

余談ですが、日本ではMr.Children(ミスチル)の大ヒット曲「Tomorrow never knows」が有名ですね。ミスチルもビートルズの影響を大きく受けていることがよくわかります。この曲がなければ、ミスチルの大ヒット曲も生まれなかったことを考えると、いろいろな偶然が重なって名曲が生まれるので、名曲って尊いなと思います。

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やっぱり、リボルバーすごい!

シンプルな感想失礼いたします!改めて聴いてみると、1966年という私からしたら大昔の時代に本当にすごいことをやってのけたということがわかります。

『Revolver』はビートルズの活動中期といえる時代のアルバムですが、このあたりで既に初期とは大きく異なり革新的な曲調を生み出し続けていることがわかります。

現代に生きる私たちにも刺さる素晴らしいアルバムを生み出してくださり、本当にありがとうございます。

今回の記事でこのアルバムに興味を持った方は、ぜひ一度聴いてみていただけると幸いです。まさに、百聞は一見に如かずです。