山田隆一公式サイト

78.ビートルズの中でも、お気に入りのアルバム『Rubber Soul』。

2023/04/30

私は、ビートルズの影響で熱心にいろいろな音楽を聴くようになりました。1963年の最初のアルバム『Please Please Me』から1970年の解散後に発売された実質的に最後のアルバム『Let It Be』までどのアルバムも愛していますが、特にお気に入りなのは1965年に発売された『Rubber Soul』です。まずはこちらのアルバムから記事を書いていこうと思います。

前日の記事にて、かりゆし58の『ラバー・ソウル』という楽曲が登場しましたが、これは『Rubber Soul』の日本でのタイトルと同名です。そのこともあり書きたくて仕方がないため今日は書きます。

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まず驚くべきなのは、この『Rubber Soul』のアルバムが発売されたのは1965年という事実です。ビートルズも、初期の1963年『Please Please Me』の頃は1950年代のエルヴィス・プレスリーやチャック・ベリーをはじめとするロックンロールなどの影響が色濃い曲調でした。それから2年あまりで発売されたこの『Rubber Soul』では、それまでの時期に何があったんだと言わんばかりの音楽的革新が起こっています。初期の曲調も好きなのですが、この時期の曲調も良いのです。

それでは、1曲ずつ印象などを述べていきます。私は音楽の専門家ではなく、豊富な知識があるわけではありません。間違いもあることでしょう。平成生まれ、29歳のある一般男性の一意見として軽い気持ちでご覧ください。

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1.Drive My Car

このタイトルを聞いて、小説家・村上春樹原作の映画を連想する方も多いと思われます。村上春樹もビートルズ好きとして知られているため、タイトルを拝借したのだろうと推測されます。

この曲からスタートするのは、さすがだと感心します。イントロの演奏から心を掴まれます。エンジンがかかる音をイメージしたのでしょうか。そして聞こえてくるポール・マッカートニーの力強い歌声。これからのアルバムの展開にワクワクさせられます。

そしてバックに聞こえるパーカッションの音。これはリンゴ・スターによるカウベルの演奏のようです。これがいい味を出しています。カン!カン!カン!カン!

歌詞に注目してみると、自分が車を運転するのではなく、相手に車を運転するように言っている視点は斬新さを感じます。この楽曲が発表されて50年以上経ちますが、これをBGMに繰り広げられたドライブは数知れずあることでしょう。それぞれのドライブに、それぞれのドラマがあったのだろうと想像させられます。

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2.Norwegian Wood (This Bird Has Flown)

この曲名を見てもピンと来ない方でも、邦題『ノルウェーの森』と聞くとピンと来る方もいらっしゃると思います。2曲連続で、村上春樹が自身の作品のタイトルの題材にした楽曲です(こちらのタイトルは『ノルウェイの森』)。

私が『Rubber Soul』が好きな理由の1つとして、アコースティックなサウンドの楽曲が多いことが挙げられます。この楽曲もアコースティックなサウンドが中心です。タイトルの和訳は、邦題として採用されている『ノルウェーの森』の他にも『ノルウェー産の木の家具』といった説もあるようです。どちらが正しいかは様々な議論があるようですが、サウンド的には「森」がしっくり来ますので、個人的には悪くない邦題だと思います。

こちらの記事でも述べているように、この楽曲はジョージ・ハリスンの演奏によりインドの民族楽器であるシタールが使用されるという、画期的な試みがなされた歴史的楽曲でもあります。こちらでもリンゴによるタンバリンやマラカスなどの演奏がいい味を出しております。やっぱりリンゴの存在感も良いですね。

そしてジョン・レノンによる哀愁のある歌声がこの楽曲が持つ「しっとり感」に磨きをかけています。また、歌詞は物語形式で進んでいくのですが、途中に挟まる間奏の時間に何が行われたのかを聴き手に想像させる構成も素晴らしいです。

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3.You Won't See Me

この楽曲も、イントロから心を掴まれます。デンデデン!ポールが当時の交際相手であったジェーン・アッシャーとのことを題材にした楽曲のようです。2人の複雑な関係が曲調に表れているように感じます。曲名と同名の歌詞の部分のメロディの不安定さから、私はそう解釈します。

私は恋愛経験がありませんが、恋愛関係になると2人はいろいろあるのだろう、ということをこの楽曲からも感じ取ることができます。

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4.Nowhere Man

この楽曲の『ひとりぼっちのあいつ』という邦題も味があり好きです。ジョンが自分自身のことを歌詞にしたと言われている楽曲です。このような内省的な歌詞も、ジョンの魅力の1つですね。

私はこの楽曲の「The world is at your command.」というフレーズを気に入っています。これは「世界は君の好きなようにできる」といった意味合いです。この世界はネガティブな面に目を向けると。ネガティブなニュースに溢れています。しかし、ポジティブな面に目を向けると、希望に溢れた世界だと私は考えています。考え方次第で、この世界を自分なりに好きに解釈できることを実感できる歌詞です。

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5.Think For Yourself

これはジョージ・ハリスンが制作し、メインボーカルも担当している楽曲です。ジョージらしく、ギターのフレーズが光っています。特にアウトロのデデデデン!という感じ、良いですね。

そしてリンゴのパーカッション(マラカスの音でしょうか)がこの曲に良いアクセントを加えています。

ジョージのボーカルにも哀愁を感じますが、その中にも歌詞のように怒りの気持ちが含まれた歌声を感じます。

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6.The Word

この楽曲は、ボーカルのハーモニーに特徴がありますよね。ジャン♪ジャン♪といったギターのフレーズも印象的です。

「Love」、愛を意味するこの言葉は、1つの言葉ながらもいろいろな意味合いがある深い言葉だと考えます。

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7.Michelle

私は大学の第二外国語で、フランス語を選択しました。そのおかげでイタリア留学時にフランスのシャルル・ド・ゴール空港で乗り継いだのですが、その時の会話に少しばかり役に立ちました。

ちょうど大学でフランス語を学んでいる頃、ビートルズの虜になっていました。そんな中で知った楽曲なので、この楽曲の歌詞にあるフランス語を興味深く聴いていました。

歌詞にフランス語が出てくるように、フランスの雰囲気が感じられる楽曲なので、曲調もいわゆるシャンソンのような印象を受けます。ポールのボーカルがよく合う、しっとりした楽曲です。

アウトロのこれまたポールによるベースの演奏が、余韻を醸し出しています。目を閉じると、往年のフランス映画の1シーンでも流れてきそうですね。

A面の楽曲は、ここまでです。当時の人々は、この余韻がある中レコードを裏返してB面を聴いたのだと思うと、贅沢なひとときですね。私も将来的には、レコードで聴いてみたいものです。

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8.What Goes On

ここからB面に入ります。B面スタートにふさわしい、ノリノリの楽曲です。リンゴがメインボーカルを務めています。リンゴの歌声は癒し系を感じる優しい歌声なので本当に好きです。のんびりとした人柄が、歌声にも表れています。

ジョンやポールによるコーラスが、リンゴの歌声を引き立てています。メインボーカルとして文句なしの2人ですが、このようにコーラスとしてもメインボーカルを引き立てる優秀さが際立っています。主演・助演どちらもいける、名優ですね。

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9.Girl

ノリノリの前の曲と対照的に、こちらの楽曲はアコースティックギターの音といい、しっとりしています。やっぱりジョンの歌声はこういう哀愁漂う曲によく合いますね。「ティッティッティッ」というコーラスのリズム感が良いですね。このコーラスが何という歌詞かは全年齢を対象としたい本ブログでは申し上げることはできません。ご了承ください。

また、「スーッ」という呼吸音が入っているのもこの曲の特徴です。また曲を通して漂う、気怠い雰囲気が良いですよね。

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10.I'm Looking Through You

この曲もアコースティックギターによるイントロがありますが、こちらは賑やかな楽曲です。こちらも『You Won't See Me』と同様に、ポールが自身とジェーン・アッシャーとの関係を書いた曲のようです。

使用楽器を見てみると・・・マッチ箱?リンゴがマッチ箱を叩いて音を出しているらしいです。こちらのウェブサイトにも、マッチ箱についての記述がありました。リンゴが実際にマッチ箱を叩いている映像・・・残っていないでしょうね。

マッチ箱といえば、カール・パーキンスの楽曲『Matchbox』をビートルズもカバーしていますよね。王道のロックンロールです!

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11.In My Life

突然の大きな文字、失礼いたします!この楽曲が本当に好きなんです。歌詞、曲、歌声、演奏、どれを取ってみても本当に好みです。この楽曲が大好きなのも、『Rubber Soul』をお気に入りアルバムとして挙げる理由です。

これまで過ごしてきた場所や、これまで出会ってきた人々を思い返す歌詞なので、この曲を聴くと私もこれまでお世話になった場所や皆さまを思い出します。私もこれまでの人生で、いろいろなことがありました。そのいろいろなことがあっての、現在があります。今の私を作ってくれた全てに感謝いたします。

曲調も、このアルバムの雰囲気に寄り添うしっとりとしたものです。やっぱりこういう曲調にピッタリのジョンの歌声ですね。もちろん、激しいロックンロールを歌うジョンも好きですが、しっとりジョン、素晴らしいです。ビートルズ解散後のソロ時代の歌声も好きですが、そのことについては別の機会に述べることといたします。

イントロの感情を揺さぶるギターの音を聴いただけでも涙腺が緩んできます。この楽曲の演奏で特に大好きなのが、メンバーをプロデュースするジョージ・マーティンによる間奏のピアノです。このフレーズは本当に心を揺さぶります。うわあああああああ!!!!!っていう気持ちになります。

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12.Wait

曲名が「待って」と言った意味合いのように、駆け足で進んでいく軽やかな楽曲です。タンバリンの音が特に駆け足感ありますね。駆け足感がありながらも気怠い雰囲気があり、歌詞に登場する2人の複雑な関係がうかがえます。

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13.If I Needed Someone

哀愁漂う雰囲気の曲が多い印象のこのアルバムにしては、明るく爽やかな楽曲なので、良いアクセントとなっています。ジョンやポールに比べると一歩下がった位置にいるイメージのあるジョージ・ハリスン(ジョージ・マーティンとの区別のためにジョージ・ハリスンだけこうやって常にこの表記です)ですが、まだデビューして2年あまりのこの時期でこのような楽曲が書ける時点で、ジョージ・ハリスンも只者ではないことを感じとることができます。ソロアルバム『All Things Must Pass』は文句なしの名盤なので、今後いつか記事に取り上げるかもしれません。

作詞作曲をしたジョージ・ハリスンがメインボーカルも担当しているのですが、やはりジョンとポールのコーラスも心地よいですね。

同じくイギリスのロックバンドのホリーズによるこの楽曲のカバーも好きです。ビートルズに比べるとフォーク色が強い印象のホリーズも、私が好きなバンドの1つです。

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14.Run for Your Life

この楽曲では、ジョンが力強い歌声を披露しています。やっぱりこういう歌声のジョンも良いですね。「That's the end.」というフレーズがあり、このアルバムの最後の楽曲だということを感じます。

最後までじっくり聴いて改めて思いましたがラブソングが多いアルバムですよね。恋愛経験がほとんどない私がこのアルバムを好むというのもおかしな話かもしれませんが、それは置いておいて、名盤であることは確実です。

ただこれだけは言えるのは、恋愛経験に乏しい私は、恋愛についての歌詞はあまり理解できない、ということです。これからそういう機会があるかどうかは、誰にもわかりません。そういう機会があれば、そういう歌詞をより理解できるかもしれませんね。

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以上で、曲ごとの感想を終了いたします。ビートルズの最高傑作アルバムとして、よく『Revolver』や『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』が挙げられます。これらのアルバムももちろん大好きなのですが、個人的には『Rubber Soul』が推しのアルバムです。

今回の記事でこのアルバムに興味を持った方は、ぜひ一度聴いてみていただけると幸いです。まさに、百聞は一見に如かずです。