461.小説『おれたち、鶴咲サンクス!』第25話 Oi!Oi!Oi!オレの前世か~い!?
2023/10/26
※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。
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「ヨッシー、元気か?」
「あ、大藤さん!」
吉野教授に声をかけたのは、同じ鶴咲大学工学部の大藤教授だ。東京で過ごした大学時代に知り合い、吉野教授より学年が一つ上の先輩だった間柄だ。大藤教授はかれこれ20年くらい鶴咲にいるので、今年鶴咲に来たばかりの吉野教授にいろいろと鶴咲のことを教えてあげている。
「KOMUSUBI時代と変わらず・・・いや、当時より味わい深くなったドラム演奏だったよ!」
大藤教授は、吉野教授がかつて組んでいたテクノバンド・KOMUSUBIのメジャーデビュー前の時代から知る数少ない人物だ。
「いやぁ、ありがとうございます。大藤さんも来てたんですね・・・!」
「そりゃあ、久しぶりにヨッシーがドラム叩いてるのを観ることができる機会だ。来るに決まってるだろ!」
「いやいや・・・恥ずかしいですね。」
「恥ずかしくねぇよ、今のドラムのほうがカッコいい気がするぜ、もっと誇りに持てよ!」
「そう言っていただいて、ありがたいです・・・。」
普段から丁寧な口調の吉野教授だが、先輩である大藤教授相手だとさらに謙遜したような態度だ。
「Oi!Oi!Oi!この人、吉野サンの先輩か~い!?」
大井が会話に加入した。
「大井さん、そうなんですよ。東京で同じ大学だったんです。あれからかれこれ40年くらい経ちますが、鶴咲でまた一緒になるとは思いませんでしたよ。」
「ん・・・?君、大井遼司ってご存知かな?」
「Oi!Oi!Oi!誰のことですか~い?苗字同じだけど、知りませんぞ~い!」
「いや・・・君と似たような見た目で喋り方の人物とかつて知り合いだったものでね・・・。苗字も同じなもんで、勝手に親族かなって思ってしまったんだ。」
「(大井誠さん、大井遼司さんとは関係ないんですね・・・、あれほど似ているのに!)」
吉野教授も大井誠と大井遼司が似すぎていると思っていたが、かつてのことをあまり掘り返されたくないこともあり直接は尋ねていなかった。
「この人が、大井遼司だよ。」
大藤教授は、昔に吉野教授、そして大井遼司と3人で写った写真を改めてスマホで撮影したものを大井に見せた。
「Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!」
あまりに似すぎているので、大井誠は強く驚いている。
「いやぁ、そのOi!って掛け声もそっくりだ。実はこの後、大井遼司は27歳で亡くなっているんだ。本人も不本意の、27クラブ入りだった。だから君は生まれ変わりかもしれないね。」
「Oi!Oi!Oi!この人が、オレの前世!?でもこれだけ似てるから驚かないぞ~い!」
「確定じゃないけど、生まれ変わりか、って疑いたいほど似てるからね。」
「(大井さん、生まれ変わりじゃないかな、っては私も思ってました・・・!)」
吉野教授も、心のなかで頷いた。
...
つづく
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