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428.小説『おれたち、鶴咲サンクス!』第12話 かつての同級生と公園で、大きな船を眺める

2023/10/13

※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。

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羅門譲は、祖父・勇吉の店を出てから鶴咲の繁華街・考慮橋界隈を歩いている。

「(さて、これからwhere to go、どこにいこうか。)」

羅門は、基本的に出かける時にはその時の気分に従って行き先を決める。出かける前にしっかり決めるときもあるが、そうではない今回のような場合がOi!、もとい、多い。

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羅門は、ヴェネツル地区に着いた。この地区は、江戸時代に鶴咲に来たイタリアの水の都・ヴェネツィア出身の商人、ルイージ・モンテカンポ一行が建築したヴェネツィアを模した建築がいっぱいある。運河に架かるたくさんの橋や、現在は観光船として用いられているゴンドラと呼ばれる黒のボートもヴェネツィアと同様存在する。

「(Wow...やっぱり鶴丸子つるまるこ広場は何回来てもいいな。)」

ヴェネツル地区で最も有名な観光スポットである鶴丸子広場にたどり着いた。ヴェネツィアのサン・マルコ広場を模したその広場は和洋折衷の独自性のある造りとなっている。

「(いろいろと・・・懐かしいな。)」

鶴咲で生まれ育った羅門は、様々な学校行事がこの鶴丸子広場で行われたことがある。

「あれ、羅門くん・・・?」

「ん・・・?Wait、待てよ、望仁香もにか・・・?」

声をかけてきたのは、羅門と小学校で同級生だった、佐藤望仁香だ。名前は珍しく、苗字はありふれたもののためクラスの皆が望仁香と下の名前で呼んでいた。

「うわぁ、やっぱり羅門くんか!何年ぶりかな?」

「Long time、長い間会ってなかったな。おれは中学からアメリカに行ってたからな。」

「アメリカ行って雰囲気変わりすぎだけど、すぐ羅門くんってわかっちゃった!」

「望仁香は、あの頃からそのまま大きくなった、って感じだな。今も鶴咲に住んでるんだな。」

「観光用水上バスのガイドをやってるよ!羅門くん、あんなにおとなしくて気が弱そうな子だったのに、今は堂々としてそう!」

「アメリカでいろいろあったからな。今は鶴咲大学に通ってて今日は休みだ。望仁香は今日は休みなのか?」

「うん、休みだよ!」

「そうか、それじゃあ歩きながらでも、久しぶりにいろいろTalk! Talk! Let's talk!話そう。」

「いいね!その英語混じりの喋り方も面白~い!」

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こうして羅門と望仁香は歩きながらいろいろと小学校時代の思い出話や、それぞれ会ってない間にどういうことがあったかなどを共有した。

「Today、今日来ている大型客船は、特に大きいな。」

「そうだね!ここ最近で一番大きいかも!」

二人が今いる鶴丸子公園は海沿いにあり、草木はもちろん海の景色を見ることができる。

こうして二人は、しばらく公園にあるベンチに座り、話を進めるのであった。

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つづく