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425.小説『おれたち、鶴咲サンクス!』第11話 爺さんの特製サンド

2023/10/12

※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。

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羅門譲は、祖父・勇吉が経営する『カントリー・カフェ&バー You』でYouステーキセットと、ウイスキー・コックを楽しんでいる。

「それで、鳥元くんと譲は、前にロックバンドを組んでいたのか?」

「Exactly、その通りだ。鳥元がバイトが忙しくなって脱退しちまったがな。」

「鳥元くん!譲のもとから、俺のもとに来てくれてありがとよ!俺より料理が上手だし、ベースもできるから俺のギターと一緒に夜はライブも開催してるんだよ。」

「1ヶ月契約なんで、そこんとこよろしくです!」

「鳥元、really、本当に器用だな。」

しばらく、羅門たちは会話を楽しんだ。

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「譲も来たことだし、これはみんなへご馳走するよ。食べて食べて!」

勇吉は、お店にいるお客さん全員に特製サンドを振る舞った。

「勇さん、今日も太っ腹だねぇ!」

「勇吉さん、いつもありがとう!」

お店にいた常連客の60代くらいの夫婦が喜んだ。

「いいのいいの。俺は年金もあるし、利益はそんなに求めてない。それよりお客さんの喜ぶ顔が見たいんだ!」

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勇吉が振る舞ったのは、いわゆる『エルヴィスサンド』と呼ばれるアメリカの伝説的ロックンロール歌手、エルヴィス・プレスリーが母親に作ってもらっていた大好物のサンドイッチをもとにした特製サンドだ。バナナやベーコン、ピーナッツバターが入っており、それに勇吉特製のソースが加わって独自の味わいとなっている。

「そのソースのレシピ、教えてくださいよ!」

「鳥元くん、それだけは教えられないよ。俺は、誰にも教えず墓場まで持っていくつもりだ。」

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「Oi!Oi!Oi!すごくおいしいじゃないか!」

羅門は子どもの頃から勇吉が作る料理を食べてきたが、この特製サンドを食べたのは初めてだ。思わず羅門が組んでいるバンド・鶴咲サンクスのメンバー、大井誠の真似をしてしまうほどだ。

「譲がそうやって喜ぶ顔を見ると、譲がまだ子どもだった頃を思い出すよ。」

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「Thanks、ありがとう爺さん!また来るよ!」

「いつでもおいで!」

「来月には他のバイトやってて会えないだろうけど、また来てね~!」

こうして羅門は、店を出た。

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つづく