378.おはなし『パオロは、いい子。』その12 ふたりの、ひろば。
2023/09/22
※このおはなしは、ほんとうではないおはなし(フィクション)です。小さい子どもや日本語を学んでいる人たちにもよみやすいよう、かんたんな日本語、いわゆる「やさしい日本語」でかかれています。
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パオロは、ほうかごにおなじクラスのジュリアからさそわれて、いっしょにおうちにかえっている。
きんちょうしているパオロは、なにもはなすことができない。
「うわぁ、今日もフランチェスコひろばはきれい!」
フランチェスコひろばは、このまち、ブオナックアのなかでも大きなひろばだ。
とけいだいや、きょうかいもあって、ベンチもいっぱいある。ブオナックアのみんなの、いこいのばだ。
「・・・きれいだね、ひろば!」
はずかしがりやのパオロは、きんちょうしながらこういった。
「パオロはゆっくりしてて、いいよね!」
ジュリアがこういった。
「え、でもおそいのってダメなことだよね?」
パオロは、エミリオみたいにテキパキとはやくこうどうできることがうらやましいとおもっている。
「わたしも、どちらというとゆっくりでしょ?だからエミリオくんみたいな子は、はやすぎるの!」
パオロは、おどろいている。エミリオは人づきあいがじょうずで、クラスでにんきものだ。でも、ジュリアみたいにエミリオよりパオロにきょうみをしめしてくれる子もいるのだ。
このせかいには、いろんなタイプの人びとがいる。エミリオがいいとおもう人もいれば、パオロがいいとおもう人もいる。
「パオロはエミリオにはなれない。でも、エミリオもパオロにはなれないよ!だから、パオロはパオロのままでいいとわたしはおもう!」
「ジュリア・・・あ・・・ありがとう!うわ~ん!」
パオロはかんどうして、なきだした。パオロはなきむしだ。学校でもよくないている。
「おかあさんがいってた。なきむしな子は、やさしい子だって!」
ジュリアのおかあさんも、やさしそうだ。
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しばらくして、パオロはなきやんだ。
「ジュリア、ほんとうにありがとう!ボクはボクのままでいいんだ!」
「そうよ!パオロくんは、パオロくんらしくしていれば、だいじょうぶ!」
こうして、ふたりはひろばをでた。
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「それじゃ、わたしはこっちにいくね!パオロ、またね!」
「ジュリア、またね!」
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「おもいっきりなくと、すっきりするなぁ。」
パオロは、さわやかなきもちでうちにかえっていった。
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つづく
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