山田隆一公式サイト

360.おはなし『パオロは、いい。』その6 ぶきようでも、いいじゃないか。

2023/09/16

※このおはなしは、ほんとうではないおはなし(フィクション)です。ちいさいどもや日本語にほんごまなんでいるひとたちにもよみやすいよう、かんたんな日本語にほんご、いわゆる「やさしい日本語にほんご」でかかれています。

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パオロは、まだねむっている。ゆめのなかのせかいで、おなじなまえのパオロというおにいさんとしりあった。

「ボクは、うごきがゆっくりで、いつもエミリオたちにまけちゃう。ボクは、ダメななのかな。」

「パオロくん、そんなことはないよ。きみは、やさしいこころをもっている。これからもじぶんらしくきていれば、いいことがいっぱいあるよ。」

「でも、ボクはほんとうにぶきようなんだ!なにをやっても、みんなにまけちゃう。」

「さっきもったけど、ぶきようでも、いいじゃないか。パオロくんには、まっすぐなこころがある。」

「おなじなまえのおにいさん、やっぱりなんでボクのことよくしってるの?」

「それは、どうしてもないしょだよ。いずれ、わかるかもしれないね。それじゃあ、またいつかおう!」

「おにいさん!もっとボクにいろいろおしえてよ!」

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こうして、パオロはゆめからさめた。そとは、すっかりあさだ。まくらもとには、ゆうべによんだ『うさぎとかめ』のえほんがおいてある。

「おとうさん、おかあさん、そしてルイーザ、おはよう!」

パオロの、あたらしい一日いちにちのはじまりだ。

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つづく