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309.小説『ありがと~い!』第65話 まさかの前任者に、ありがと~い!

2023/08/26

※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。

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大井誠は、大学にある音楽スタジオでバンドメンバーと練習をしている。ベースを本格的に触るのは今日が初めてだが、楽しいようだ。

「Oi!Oi!Oi!ベース楽しいぞ~い!」

「楽しいならgood、良かった。これからも、よろしくな。」

「もちろんこれからもバンド楽しむぞ~い!」

「そろそろband name、バンド名を考える時だな。Predecessor、前任者がいた時の名前はあるのだが、今更掘り返さなくてもいいだろう。」

「彼はPredec...」

「ヨッシー、そんなことよりhand、手を動かしていただきたい。」

「羅門さん、私に対しても強気ですよね。恐れ入ります。」

自身の3倍くらいの年齢の吉野教授に対しても、羅門くんは強気だ。さすがアメリカ育ちだ。なぜ家族をアメリカに残して日本に来たかも、これから語られるだろうか。

...

「すみません!アタシ、これから講演会に行かなきゃいけないのでお先に失礼します!」

「おう、お疲れ。今日も練習に来てくれて、thanks、ありがとう。」

「浦西サン、ありがと~い!」

「お疲れ様でした。浦西さんは勉強熱心ですね。さすがです。」

教育学部所属の浦西さんは、教育関連の講演会などが近くで開催されると積極的に出席している。もちろん、講演会の行く際は着替える。現在のロックンロールTシャツにダメージジーンズの格好から、白いブラウスにネイビーのスラックスという装いに着替えるそうだ。

「おれらはバンドスタイルのテンションがhigh、高い浦西しか知らないが、普段の浦西はおとなしめだそうだ。メリハリがついてるよな。」

「遭遇しても気づかなさそうだぞ~い!」

「浦西さん、普段は人見知りなところがありますので知り合いと遭遇しても自分からは声をかけないようですよ。でも私が前キャンパス内で見かけた時に声をかけたら笑顔で話してくれました。良い学生です。」

こうして、浦西さんが一足先に練習を終えたが、その後も大井と羅門くん、そして吉野教授は練習を続けた。

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「お疲れっす!」

誰かが唐突に音楽スタジオに入ってきた。

「おお、トリーじゃないか。ちょくちょくface、顔を出してくれてありがとよ。」

「こんにちは。アルバイトの人間関係は大丈夫ですか?」

「ラモ、こちらこそ笑顔で出迎えてくれてありがとう!そしてヨッシー、心配ありがとうございます。今のところ大丈夫ですよ。」

大井は、聞き覚えがある声だと思った。振り返って、その人を見た。

「Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!鳥元クンじゃないか~い!どうしたんだ~い!?」

「おお、まこっちゃん!なんでここにいるんだ?」

そう、大井が大学の授業で知り合った鳥元くんだ。現在はアルバイトに明け暮れているそうだ。

「トリーと大井、知り合いだったのか?」

「授業で知り合ったくらいだけどね。」

「羅門クンと鳥元クンが知り合いなのも、びっくりだぞ~い!」

「おれがもっと、surprise、驚かせてやる。」

「羅門クン、これから何をするんだ~い!?」

「トリーこそが、ベースのPredecessor、前任者なんだよ。」

「彼はPredecessor、私はProfessor!」

「ヨッシー、何を言い出すんですか!韻を踏んでるってのはわかりますけど・・・。」

鳥元くんは、英単語には弱いようだ。

「なるほど、トリーはこういう反応か。」

鳥元くんが吉野教授の親父ギャグにどう反応するか気になったので、羅門くんは吉野教授を止めなかった。

「このベース、鳥元クンのだったんだね~!使わせてもらってるぞ~い!ありがと~い!」

「まさか後任がまこっちゃんとはびっくりだよ!まこっちゃんに使ってもらえるならベースも幸せだ!」

「鳥元クン、なんで脱退したんだ~い?こうやって顔出すってことは不仲ではないんだよね~?」

「バイトが楽しすぎて。」

「そういうことか~い!」

こうして大井たちは、ベースの前任者である鳥元くんとの会話を楽しんでいくのであった。

...

つづく