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277.小説『ありがと~い!』第49話 まさかのドラマーに、ありがと~い!

2023/08/10

※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。

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大井誠は、ロックバンドでベースを担当することとなり、音楽サークルの部室でボーカル担当の羅門譲と、ギター担当の浦西杏菜と、残り1人のメンバーを待っている。

「羅門クン、その人はいつ来るんだ~い?」

「Now、今は16時だ。ちょうど4限が終わる頃だから、そろそろcome、来るんじゃないかな。」

「吉野さん、忙しそうですよね。」

「(Oi!Oi!Oi!吉野って、どこかで聞いたことあるぞ~い?)」

大井が昨日会った人の中で、そういう名前の人がいた気がする。まさか、その人だろうかと大井は思った。

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更に待っていると、ドアの音がした。

「いやぁ、今日もお疲れ様です。バンド、やりましょうか!」

部室に入ってきたのは学生ではなさそうな、白髪交じりの短髪の男性だった。こちらも半袖の季節ながら、グレーのスーツを着ている。

「ん・・・?坊主頭の方、昨日お会いしましたよね?そう・・・大井さん!」

その瞬間、大井は昨日たまたま出会った男性を思い出した。

「Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!吉野サン!?昨日ツルサッキーソーダをおごってくれてありがと~いございました!」

そう、この男性は、大井に昨日道を尋ねた吉野さんだ。大井が道を教えたお礼に、ツルサッキーソーダをおごってくれた。

「いやぁ、偶然ですね大井さん。まさか大井さんもこの音楽サークルへ?」

「そうなんですよ~!今日、羅門クンと知り合いまして、早速誘われたんですよ~!」

「Yes、今日、大井と知り合って早速get along、気が合ったんで部室に連れて来たんだ。」

「大井さんと羅門さん、今日知り合ったなんてさっきアタシもびっくりしました!それだけ気が合ってるってことですよね。」

「Right、だろ?浦西。」

こうして、バンドメンバー4人が顔を合わせた。

「改めて、everybody、みんな、自己紹介しようか。まずおれは、文学部2年、ボーカルの羅門譲(らもんじょう)だ。よろしく。」

「教育学部1年の、ギターの浦西杏菜(うらにしあんな)です。よろしく!」

「法学部2年で、コレからベースを担当予定の大井誠(おおいまこと)で~す!よろしくお願いしま~す!」

「私は・・・4月からこの鶴咲大学の工学部で教授をしております、ドラムの吉野常幸(よしのつねゆき)です。この音楽サークルの顧問もやってます。他にもバンドがあるサークルなんですけど、羅門くんに熱烈な勧誘を受けてこちらのバンドのメンバーでもあります。」

「それでは、この4人でやっていこうじゃないか。それにしてもヨッシーと大井がyesterday、昨日会っていたとはな。」

「Oi!Oi!Oi!ヨッシーって、そんな気さくに吉野センセイを呼んでいいのか~い!?」

「私が教授とわかると先生呼びにしましたね?吉野さん、でいいですし、お呼びしたければ羅門さんみたいにヨッシーでもいいですよ。」

吉野さんは、本当に物腰が柔らかく、穏やかそうだ。一見ドラムを叩かなさそうな風貌をしている。グレーのスーツに身を包んだ白髪交じりで短髪のその風貌は、まさに紳士だ。

「ヨッシーは40年前、メジャーデビューしたことあるんだよな?」

「そうですね・・・、あるバンドのドラマーとして、趣味でやってた音楽で貴重な経験をさせていただきました。・・・ぜんぜん売れなかったですけどね。」

「Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!吉野サンすごい人じゃないか~い!」

「大したことないですよ。でもこうやって今も若い人たちとバンドやってると、いろいろと刺激的ですね。」

こうして大井は、バンドメンバーと話を続けるのであった。

...

つづく