255.小説『ありがと~い!』第40話 心温まるお礼に、ありがと~い!
2023/07/31
※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。
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大井誠は、大学へ通学するために家を出た。今日はしっかりと忘れ物を確認した。昨日忘れた財布も、しっかりと愛用している黒のリュックサックに入れている。
読者の皆さまにとっては大井が財布を忘れたエピソードはだいぶ前のことに思われるかもしれないが、作中ではまだ第1話から1日しか経っていないのだ。
「大井くん、おはよう!」
大家さんが今朝もアパートの入り口付近を掃除していた。
「大家サン、おはようございま~す!今日は忘れ物ダイジョ~ブで~す!」
「それは良かった。今日も気をつけて行ってらっしゃい!」
「行ってきま~す!」
現在の時刻は8時21分。順調に行けば8時30分には大学に着き、8時50分からの1限の授業には問題なく間に合う。大井は、大学に向かって進んでいく。
「あ、昨日の坊主頭の方!」
「あ・・・、おはようございま~す!」
昨日の朝、大井が助けたおばあさんが、大井に声をかけた。
「昨日はありがとうね。よろしかったらお名前を教えてくださらないかしら?」
「大井と申しま~す!」
「大井さん、昨日は助かりました。これ、良かったらおやつにでも食べてね。」
「(Oi!Oi!Oi!Oi!こんな大きなお菓子、大学には持っていけないぞ~い!)」
おばあさんは、大きな紙袋に入った『鶴咲屋』のカステラを大井に差し出した。『鶴咲屋』は、江戸時代から続く鶴咲の老舗カステラメーカーだ。
「心温まる品を、ありがとうございま~す!それでは!」
「あ、大井さん!他にも・・・」
おばあさんは他にもお礼の品があるようだったが、大井は急いでこのカステラを家に置きに行った。現在の時刻は、8時27分だ。
「大井くん!また忘れ物かい?」
「大家サン!いえ、頂き物で~す!」
こうして大井は家に再び帰ってきた。
「(大井くん、いつもドタバタしてるなぁ、若いっていいねぇ!)」
大家さんは、大井を微笑ましく思った。
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つづく
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