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228.小説『ありがと~い!』第29話 いい香りに、ありがと~い!

2023/07/20

※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。

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大井誠は、昼寝をしたため夜になっても眠気がやってこない。

「夜更かしはしたくないぞ~い!」

大井は規則正しい生活を心がけたいので、夜更かしをしたいとは思わない。今日は朝に頑張りすぎたので、眠気に負けて昼寝をしてしまったが、遅くとも1時までには眠りにつきたいところ。

現在の時刻は22時30分なので、余裕かと思われるが、眠気が来ていない時はベッドに入ってもしばらく眠れないことが多いので、無理をしてベッドに入るべきではない。

「焦らず、だんだんと眠くなっていくぞ~い!」

お気づきの通り、大井は家の中で独り言が多い。独り言をしたほうが考えが整理されやすいこともあり、家の中では積極的に独り言を言っている。感謝の言葉も思っているだけではなく声に出すとより効果的に気分が良くなるため、声に出している。しかし、近所迷惑になるため夜分は独り言の音量を抑えている。

「いい香りで、リラックスするぞ~い!」

大井は、精油(エッセンシャルオイル)をティッシュに2適ほど垂らした。本日はヒノキの精油を使うことにした。

「Oi!Oi!Oi!ヒノキで、鼻の中がウキウキ。ありがと~い!」

大井は、木の香りを好む。自然が豊かな街で生まれ育ったこともあり、木の良い香りを嗅ぐと大きなリラックス効果を得ることができるのだ。

「一般教養科目の体のことの授業で、嗅覚は脳に直接届くといったことを習ったし、嗅覚でリラックスしていくぞ~い!」

大井は授業で気に入ったことがあったらすぐに実践するタイプだ。この体のことの授業を大学で受けたその日に、精油を3種類ほど購入した。

「ヒノキのいい香りを嗅ぐと、ふるさとを思い出すぞ~い!」

匂いと記憶は、結びつきが強いものだ。ある匂いを嗅ぐと、その匂いに関することを思い出す、という経験がある読者の方もいらっしゃることだろう。

「うん、少し眠くなってきたぞ~い!」

現在の時刻は23時10分。果たして、大井は1時までに眠りにつくことができるのか。乞うご期待。

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つづく