222.小説『ありがと~い!』第27話 面白いテレビ番組に、ありがと~い!
2023/07/18
※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。
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大井誠は、楽しみしていた夕食を終えて、自宅の部屋でくつろいでいる。
「Oi!Oi!Oi!面白~い番組、やってるか~い?」
大井は面白い番組がないか、テレビの番組表をチェックしている。スマートフォンなどで動画を観ることも好きな大井だが、こうやってテレビを観ることもまた、好きだ。
「見てください、この美味しそうなお肉!」
グルメ番組が放送されている。先程のお腹が空いている状態だとより空腹感を刺激する番組であるが、大井はもう夕食を済ませた後だから、それほどではないだろう。
「うわぁ、またお腹が空いてきそうだぞ~い!」
さすが食いしん坊の大井、夕食にしてもうお腹が空いてきそうとのことだ。
「あなたが・・・犯人だと思っていましたが、違うようですね。」
チャンネルを変えると、刑事ドラマが放送されていた。人気のジャンルなので、実に様々な刑事ドラマが制作されている。
「最初から観てないから、わからないぞ~い!」
大井はドラマを観る際は最初から観たいタイプなので、途中から乗っかることはしない。
「パップロジェーン!パップロジェーン!」
再びチャンネルを変えると、バラエティ番組が放映されており懐かしいフレーズが聞こえてきた。『パップロジェーン』とは、大井がまだ小学生の頃に一斉を風靡したお笑いコンビ『スニーカー味噌汁』、通称スニ味噌のギャグのフレーズだ。急激に売れた途端、これまた急激にテレビの世界から姿を消したので、大井はその存在を忘れており、この番組を観た現在、思い出した。
「うわぁ、懐かしいぞ~い!小学校で真似してるヤツ、同じクラスにもいたぞ~い!」
大井は懐かしさから、この番組を観ることに決めた。
「この頃の映像恥ずかしいっすよ!」
照れくさそうにしているのは、このお笑いコンビ『スニーカー味噌汁』のツッコミ担当、高西寛也(たかにしひろや)だ。スニ味噌として一斉を風靡した時代の映像がVTRとして流されて、恥ずかしそうにしている。
「スニ味噌、あれからすぐ解散したよなぁ!」
司会を務めている大物芸人の方が、話題を振る。
「そうなんですよぉ。相方が突然芸能界を辞めるって言い出してですね。僕だけこうやって今もたまにテレビ出ながら、ピン芸人として頑張ってます。」
「でもあの頃より収入だいぶ減ったやろ?」
「まぁそうですけど、僕の喋りで皆さまの笑う顔を今も観ることができるのは嬉しいですよ。」
世間的に「一発屋」と呼ばれている方々がいる。一発当てるだけでも本当にすごいと感心する。一発当てたその人生はいろいろだが、この高西という方は、今も地道にお笑いタレントとして頑張っているようだ。元相方の方は芸能界を引退したようだが、こちらの道も尊重されるべきだろう。
「今もお笑いで頑張ってると知れたぞ~い!」
大井も、この高西の現在を知ることができ、興味深くこの番組を観ている。
「今もコツコツ頑張ってるのを久々観ることができて、嬉しかったで!」
司会者の大物芸人も、大井を含めた多くの視聴者たちと同じことを考えているようだ。
「ありがとうございます。これからも地道に頑張ります!」
「パップロジェーン!」
司会者が、イジりの意味も込めて高西の過去のギャグを引っ張り出して大声で叫んだ。
「恥ずかしいっすよ!」
高西が照れくさそうにしている様子に、会場は笑い声に包まれていた。
「やっぱり面白い番組で思いっきり笑うと、元気が出るぞ~い!」
大井も思いっきり笑うことができたようだ。
「面白い番組をいろいろと考えて作っている皆サマ、出演者の皆サマ、テレビを作ってくれた皆サマ、電力を供給してくれている皆サマ、いろいろな皆サマのおかげでこの番組を観ることができる事実に、ありがと~い!」
大井は今夜も感謝をしながら、テレビを観ながらリラックスするのであった。
...
つづく
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