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209.小説『ありがと~い!』第22話 新鮮なお魚、ありがと~い!

2023/07/13

※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。

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大井誠は、バスに乗って家に帰っている。

「次は~、冨吉~、冨吉~。」

大井の家の最寄りバス停は、この冨吉バス停より2つ先のバス停である令和町バス停だ。

「(Oi!Oi!Oi!家の冷蔵庫に食材がないぞ~い!)」

大井は、食材がないことを思い出したようだ。このあたりで食材調達の場といえば、冨吉商店街だ。

(ピンポーン)

大井は、次のバス停である冨吉で降りるためにボタンを押した。

「(今日は何を食べよ~い!)」

先程ティラミスとカプチーノを食べたばかりの大井だが、もうお腹が空いてきている。大井は食いしん坊なので、食べる量がOi!、もとい、多い。

「運転手サン、ありがとうございました~!」

大井は、冨吉バス停でバスを降りた。すぐに商店街へと向かう。

「あ、大井くん!」

大井に声をかけたのは、大学の同級生の女子学生、武谷(たけたに)さんだ。

「よ~い、武谷サン!」

「明日の2限、同じ授業だよね。その時またね!」

「おつかれ~い!」

武谷さんと大井は、この明日ある2限の授業の科目で知り合った。大井が英語が堪能なことを知り、時々勉強法などを大井に尋ねている。

「(腹減ったぞ~い!)」

大井は、商店街にたどり着いた。

「あ、大井くんいらっしゃい!」

大井がよく通っている魚屋『冨吉鮮魚店』のおじさんが、声をかけた。

「おじサン、こんばんは~!夕食のおかずを買いに来ました~!」

「大井くん、ツイてるね~。今日は活きの良いヒラスが入ってるよ。」

ヒラスとは、ヒラマサのことである。鶴咲がある地域では、ヒラスという呼び方だ。

「わぁ、ヒラスの刺身、食べた~い!」

「よし、刺身用に食べやすく切ってあげるよ。」

「ありがとうございま~す!」

「これ、タコ。おまけしておくよ。酢味噌もおまけするから、刺身として食べてね。」

個人の鮮魚店は、このようなサービスやおまけなどがあるから、良さがある。スーパーマーケットやコンビニエンスストアが台頭している現代でも負けずに営業できているのは、このような人情味ある一面も関係しているのかもしれない。

「うわぁ、おまけこんなにいいんですか~!?」

「いいよいいよ、どんどん食べて!」

おじさんの満面の笑みに、大井も笑顔になっていった。

「ありがとうございました~!」

こうして大井は新鮮なヒラスを購入し、おまけとしてタコもいただいた。

「Oi!Oi!Oi!Oi!Oi!今夜はごちそ~い!!!」

そして大井は、家へと歩いていくのであった。

...

つづく