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187.小説『ありがと~い!』第13話 路面電車で、ありがと~い!

2023/07/04

※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。

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大井誠は、冨吉神社でお参りを済ませた後、冨吉商店街を歩いている。

「よぅまこっちゃん、おつかれ!」

大学の授業で知り合った男子学生・鳥元(とりもと)くんと遭遇したので、声をかけてきた。

「鳥元クン、おつかれ~い!」

「今日の授業は終わったのか?」

「終わったよ~い!」

「俺は今からバイトだ。行ってくる!」

「行ってらっしゃ~い!」

鳥元くんは、アルバイトに明け暮れている。授業に集中するもよし、サークル活動に参加するもよし、アルバイトに明け暮れるもよし、大学生は本当にいろいろな人々がいる。ちなみに鳥元くんは、現在は焼き鳥店でアルバイトをしているようだ。そういう苗字だから、鳥に関連するものに縁があるイメージだ。

冨吉商店街を抜けて、路面電車の冨吉電停にたどり着いた。鶴咲の市街地を中心に走る路面電車は、地元の人々や観光客にとって大事な交通手段となっている。

この路面電車はどこまで乗っても運賃は140円なこともあり、いつも人がOi!、もとい、多い。

冨吉電停に、鶴丸子電停行きの電車が到着した。大井をはじめとする、待っていた10人ほどの人々が路面電車に乗り込んだ。

大井は、自身のスマートフォンのアプリに交通系ICカードをチャージしてそれをタッチする方式を採用している。実物のICカードを持ち歩く手間が省けたのは便利だ。現在は現金派・実物のカード派・大井のようなスマートフォン内アプリ派など、交通機関での支払い方法でも、多様性を見ることができる。

大井がスマートフォンをタッチすると、残高が表示された。

「(Oi!Oi!Oi!残高、20円!?こりゃあチャージしとかなきゃいけないぞ~い!)」

大井は空いている席を探して座り、アプリで残高を2000円チャージした。支払いはスマートフォンに入力しているクレジットカード情報で済ませられるため、スマートフォンを操作するだけで完結する。

ちなみに大井が使っているのは鶴咲の地元で人気のクレジットカード、『鶴丸カード』だ。鶴咲で人気の観光地・鶴丸子広場のイメージキャラクター・『ツルマル子』がプリントされている。鶴丸をモチーフにした、かわいらしいキャラクターである。鶴丸カードが普及したのにはこのキャラクターのかわいさも一役買ったことだろう。

「(座ったままでも残高チャージできるようになったなんて、技術の発展に、ありがと~い!こういった技術を開発してくださった先人たちにも、ありがと~い!)」

大井は、今回もいろいろなことに感謝しながら、路面電車に揺られていくのであった。

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つづく