181.小説『ありがと~い!』第10話 夢の中でも、ありがと~い!
2023/07/01
※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。
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大井誠は、疲れから再び眠りに落ちた。気持ちよさそうな顔をして、眠っている。
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「Oi!Oi!Oi!家の中にサソリがいる!?」
大井は、夢の中にいる。家でサソリが出没するなんて、まずあり得ないことであるが、夢の中では夢と現実の区別がつかない。本当に不思議だ。
10cmほどの大きさのサソリが、現実にはあり得ない速度で家の中を徘徊している。簡単に捕まえることはできないことだろう。
「Oi!Oi!Oi!Oi!猛毒があったらどうしよ~う!」
大井は夢の中にいると気づかず、慌てている。
5分くらい、サソリをどうしようか考えたが、うまくいかない。窓を開けて追い出そうとするも、そちらにはなかなか行ってくれない。
すると、テレビからCMが流れた。
「家の中で走り回るサソリをどうにかしたい!そんなあなたに、サソリバスター!」
大井の夢の中の世界では、サソリを退治するスプレーが発売されているようだ。
「そんなのあるのか~!欲しい!欲しい!欲し~い!」
大井は、このスプレーをすぐにでも欲しいと願った。
「Oi!これ、CMでやってたヤツじゃないか!?」
偶然にも、夢の中の大井の家にはこのスプレーがあった。大井はすぐにこのスプレーをサソリに向けて発射した。
するとサソリは一瞬で姿を消した。跡形もなく姿を消すとは、現実にはあり得ない強力なスプレーだ。
「こんな素晴らしい商品を生み出してくれて、ありがと~い!ありがと~い!ありがと~いお~いお~いおいおいおい・・・・。」
大井は命の危機を回避できたことに感動し、夢の中で男泣きした。
「お~いお~いおいおいおい・・・・。ん?」
大井は目が覚めて、現実世界へ戻ってきた。目が覚めると、夢のことは現実ではあり得ないと認識することができるのは、不思議だ。とはいえ、現実でも涙を流していた。
「Oi...不思議な夢を見たモンだなぁ!って、うわぁ!!!」
大井は驚きのあまり、叫んだ。視線の先には、カプセルトイのサソリのフィギュアがあった。なんとなく気分でカプセルトイを回したら、これが出てきたのだ。1ヶ月以上前のことなので、存在を忘れかけていた。
「忘れかけて悪かったなぁ、サソリクン。これからも、よろしくな!」
大井は、サソリのフィギュアをこれからは大事にすると決めた。夢に出てきたこともあり、愛着が湧いた。夢の中では退治してしまったのだが、現実とは分けて考えた。
現在、14時30分。大井は長い昼寝を終えて、遅めの昼食の準備に取り掛かるのであった。
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つづく
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