183.小説『ありがと~い!』第11話 好きな野菜に、ありがと~い!
2023/07/02
※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。
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大井誠は、遅めの昼食の準備に取り掛かっている。現在の時刻は14時30分だ。
現代は先人たちの努力とそれによる技術の発展により、一人暮らしでも食事の際の手間をかなり省くことができるようになった。
スーパーやコンビニに行けば、自炊しなくとも様々な食事を気軽に楽しむことができる。戦国時代や江戸時代の人々などが現代日本に来たら、驚くことだらけだろう。
時代劇などで、金平糖が高級品として登場するのは逆に現代日本を生きる私たちにとっては驚きだ。それと逆のようなことが起きることだろう。
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さて、今日の大井の昼食は、レトルトカレーときゅうりの塩もみだ。
「ヨシ、パックごはんと、カレーのルーを別々にレンジでチン!」
今の電子レンジは「チン」とは言わないことが多いが、「チン」という言葉は名残りで今もよく使われていることは興味深い。
パックごはんは、一人暮らしの人々にとっては本当に革新的な発明だろう。一人暮らしだとご飯をあまり炊かないため、本当に重宝する。近年のパックごはんは味のクオリティもだんだんと上がっており、ご飯を全く炊かずにこちらをメインとしている人々もそれなりにいることだろう。大井のお気に入りの銘柄は、今回もチンした『おいひかり』だ。自分の名前と似ているものに強い親近感を抱く大井らしいチョイスだ。
レトルトカレーも、近年のクオリティの上昇は凄まじい。レトルトながら、お店で食べるカレーと肩を並べるほどのものも登場している。大井はそれほど贅沢ができない立場のため、4個入りで398円のレトルトカレーだ。とは言え、この値段にしては十分美味しい。企業努力に感謝だ。
「お~いしそう!いいにお~い!」
カレーは、大井の大好物だ。カレーチェーン『ソコライチメン』、通称「ソコイチ」のカレーをよく食べに行く。お気に入りのトッピングは、ヒレカツとほうれん草だ。辛いカレーが好きなので、今回レトルトカレーも辛口だ。
「そして、このきゅうりの塩もみ!こちらもおいしそ~い!」
カレーとごはんをレンジでチンしている最中に、きゅうりの塩もみを作っていた。大井は、平均より少し分厚いくらいの輪切りが好きなので、今回もそのように切った。
「カレーと塩もみ、いただきまぁ~す!」
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大井がなぜきゅうりが好きかというと、きゅうりの韓国語が「오이(オイ)」と言うことを知ったからだ。大学には様々な国から留学生が来ているのだが、大井は釜山から来た男子学生のユンくんと、ソウルから来た女子学生のキムさんの2人と知り合いだ。いつか、大学で興味深いやり取りがあった。
「大井くんの名前って、韓国語でのきゅうりの発音と似ていますよ!」
「Oi!Oi!Oi!それは初耳だよ~、ユンクン!本当なの~?キムサ~ン?」
「確かに似ていますね。韓国語には日本語みたいに伸ばし棒(ー)がないので、ほぼ同じ発音(おおい[おーい]→おい)ですよ!」
「Oi!Oi!Oi!Oi!それは知らなかったぞ~い!帰りにきゅうりいっぱい買って帰ろ~!」
「その掛け声も私たち韓国人にとっては、きゅうり!きゅうり!きゅうり!きゅうり!って聞こえるので面白いです!きゅうりおいしいですよね。」
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こういった経緯があり、大井はきゅうりが大好きな野菜になった。
「今日も食べ物に、ありがと~い!」
「おいしいレトルトカレーとパックごはんを開発するために努力してくださった方々にありがと~い!」
「そのための食材を作ってくださった方々にも、ありがと~い!」
「そして、オレの大好きなきゅうりを栽培してくださった農家の方々にも、ありがと~い!サンキュ~リ!」
「食材を配送してくださった方々、販売してくださった方々にも、ありがと~い!」
「ごちそうさまでした~!」
大井は、おいしい食事をできることに対してこのようにいつも感謝している。
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食事が終わり、湿布により午前中に頑張りすぎた痛みもとれてきたため、今日の授業はもうないのだが大井は出かけることとしたのであった。
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つづく
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