175.小説『ありがと~い!』第7話 お飲み物を、ありがと~い!
2023/06/28
※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。
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大井誠は、ドラッグストアで湿布を買い、家へと向かっている。
大学の近くにあるこのドラッグストアから、大井の家までは徒歩約8分なのだが、全身が痛むため、大井にとってはより長く感じることだろう。
「(Oi!Oi!Oi!湿布を買ったはイイが、3限の授業には行けるのか~い!?)」
大井は走って向かった家から大学への道を、痛みに耐えながらゆっくりと歩いていく。
すると大井は、スマートフォンを見ながら困った顔をしている50代くらいの男性を見つけた。
人助けが好きな大井にとって、このような状況を見逃すことはできない。
「どうなさいましたか~?」
「いやぁ・・・この辺だと思うんですけど、こちらのお店が見つからなくて・・・。」
「あ~!コノお店は、コチラですよ~。チョット裏道になりますか~ら、難しいですよね~!」
大井は、早く家に帰って湿布を貼りたいと思いながらも、親切に道案内をした。
「ありがとう、助かりました!」
するとこの男性は、近くにある自販機を見つめてから、大井のほうを向いて笑顔で次のように言った。
「お礼に、どれか1つ好きな飲み物をご馳走しますよ!」
「イイんですか~!?ありがとうございま~す!それじゃ、こちらを!」
(チャリーン・・・ゴトン!)
大井は、鶴咲のご当地ドリンク、『ツルサッキーソーダ』を1本ご馳走になった。大井は大学生になって初めて鶴咲に来て初めて飲んだときからツルサッキーソーダの大ファンだ。
「これオイシイんですよ~!」
「そうなんですね、私は鶴咲来たばかりなので知りませんでした!よし・・・」
(チャリーン・・・ゴトン!)
この男性も、『ツルサッキーソーダ』を購入した。
「この偶然の出会いに、乾杯!」
「カンパ~イ!」
大井とこの男性は、ツルサッキーソーダのペットボトルで乾杯をした。
「君、お名前は?」
「大井誠といいます!」
「大井さんですか!私は吉野と申します。4月から鶴咲に来たばかりなので、わからないことがいっぱいなんですよ。」
「オレでよければ、道案内くらいはお安い御用ですよ~!」
「私は近所に住んでいますから、またお会いするかもしれませんね。」
「そ~なんですね!その時はまた、よろしくお願いしま~す!」
「今日は道案内ありがとうございました、それではまた。」
大井は、吉野さんとお別れをした。吉野さんは、白髪交じりの短髪で、紳士的な落ち着いた振る舞いの男性であった。
大井はいかにも優しそうな顔をしているため、今回みたいに話しかけなくとも困っている人から道を聞かれることがOi!・・・、もとい、多い。
「(Oi!Oi!Oi!Oi!ツルサッキーソーダのおかげか、痛みがひいてきたぞ。これは楽に家に帰れソーダ、なんちゃって!)」
自分の名前によく似た発音の「Oi!」文化を気に入るくらいなので、大井はこのような親父ギャグが大好きだ。ただ、実際に発言することはだいぶ抑えているつもりだ。
こうして大井は道を歩き、帰宅した。
...
つづく
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