171.小説『ありがと~い!』第5話 頑張った身体に、ありがと~い!
2023/06/26
※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。
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大井誠は、授業への出席を認められたので席に向かっていった。この授業は150人くらいが座れる大きな教室で実施されている。どの席に座るかは自由なのでいつもは真ん中あたりの席に座るのだが、今日はギリギリセーフとなったため席が埋まっている。ということで、いつもより前の席に座る。
「それでは、今日の授業を始めます。教科書の42ページを開いてください。」
北瀬教授の授業は、教授が自ら執筆した教科書が教材だ。大学生協に売られている。
「それでは、こちらの判例を見てみましょう。」
北瀬教授の授業がどんどん進んでいく。いつもは順調に90分聴くことができるのだが、今日の大井には問題が発生した。
「(Oi!Oi!Oi!全身に痛みが・・・!)」
大井はここに来る前に、近所の民家のおばあさんが物置の重いものを整理することに苦労していたので手伝い、急いでいたのもあって短時間に重たいものをいくつも持ち上げた。
その上に、授業に遅れまいと、普段出さないような速度で大学までへの道を走り抜けた。普段使わないような筋肉を酷使したことになり、身体が悲鳴を上げているのだ。
「(Oh・・・、これは痛~い!)」
「こうやって私は法律を教えていますが、学生の皆さまには法律を通して、人の”痛み”がわかるような人間になっていただきたいと思っています。」
この間、大井は別の”痛み”が襲ってきている。北瀬教授の授業がどんどん進んでいく。
「うお~!」
あまりの痛みに、大井はつい声を出してしまった。
「大井くん、どうしたの?」
「い、いえ、なんでもないです、すみませ~ん。」
「それじゃあ、授業を続けますね。」
大井は90分の授業を痛みに耐えてよく頑張った。授業の最後にレポートを受け取り、教室を出た。
「大井、大丈夫か?痛そうにしてたな?」
こう声をかけたのは、授業ですぐ後ろに座っていた同級生の佐藤くんだ。要領が良いタイプの人間で、友達は多いほうだ。Oi!ほう・・・だ。
「佐藤クン、ありがと~い!湿布でも貼っとくよ~い!」
「気をつけてな。」
「(90分の授業を耐えきった身体にも、ありがと~い!」)
こうして大井は、現在10時30分で、3限の授業(12時50分開始)まで時間があるので、湿布を買いに行くのであった。
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つづく
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