167.小説『ありがと~い!』第3話 笑顔でお礼、ありがと~い!
2023/06/24
※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。
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大井誠は、忘れ物の財布をしっかりカバンに入れて、大学へと向かっていった。
現在の時刻は8時31分。授業が始まるのは8時50分だ。よりによって、この1限目の授業の担当教授は厳しいことで評判があり、1分でも遅刻すると出席を認めない。
とはいえ徒歩10分くらいで大学に着くことができる。今のペースで行けば余裕だろう。
大井が住む令和町(れいわまち)は、鶴咲大学の近くにある街なので、住んでいる学生は多い。ん?学生はOi!・・・、これは強引か。
「(朝の空気はやっぱり気持ちいい、息ができることにも、ありがと~い!)」
大井はこんなことを考えながら、大学へと向かっていく。
「お、重い・・・。」
近くの民家に住んでいるおばあさんが、重そうにしている。
「どうされましたか?」
大井は、感謝することの他に、人助けも趣味の一つだ。困っている人がいると、助けずにはいられない。
「物置を整理してるんだけどねぇ、いろいろと重くてねぇ。」
「手伝いましょうか?」
「あら、お願いねぇ。」
大井は力には自信がある。このような手伝いなら、お安い御用だ。
...
「おかげで助かりました、ありがとうねぇ。」
おばあさんは満面の笑みで大井にお礼を言った。
「(笑顔でお礼、ありがと~い!)いえいえ、これくらいお安い御用ですよ、!それじゃ!」
「あ、あの、お名前は・・・?」
おばあさんは大井に名前を尋ねたが、現在の時刻は8時42分だ。手伝いを済ませた途端、大井は大学ヘと急いだので、名前を答えることなく走り出した。
「(Oi!Oi!Oi!間に合わないんじゃないか~い?)」
大井は全速力で大学へと向かっていく。
「(Oi!Oi!Oi!ここで赤信号はないんじゃないか~い!?)」
信号にも忠実に従いながら、大井は安全に急いでいる。現在の時刻は8時47分。大井は大学の正門を通り過ぎた。授業がある教室まで時間通りにたどり着けるのか・・・?
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つづく
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