150.小説『今日も、僕は歩いていく。』第15話 考慮橋界隈は、本当に渋い。
2023/06/16
※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。
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ああ、ラーメン美味しかった。やっぱりラーメンにしてよかった。カレーと迷いに迷っていろいろと”考慮”してよかった。
夕食を済ませ、僕は考慮橋界隈を再び歩く。
このあたりは歴史が深い街並みなので、昔からある建物がたくさんある。お店の看板なども、今にはない独特の味わいを醸し出しており、本当に渋い。
カレーの看板や、炭酸飲料の看板が数十年前からそのままある。その色褪せた風貌も本当に雰囲気があるなぁ。
現代的な街並みの鶴咲駅前あたりも良いが、こうやってかつての面影が残る考慮橋界隈もやっぱり良い。
『小料理屋 みっちゃん』というお店の看板がある。しかし、建物は営業していないようだ。この看板の古さからして、だいぶ前に営業終了して、そのまま看板だけあるのかもしれない。
かつてはこのお店でも、様々な人間ドラマが繰り広げられていたのだろうなぁ、と僕は想像する。
「!?」僕が目を閉じていると、そこには『小料理屋 みっちゃん』が営業している風景が映っているじゃないか!これは妄想か、それとも幻か?
「もうその辺にしないと、飲みすぎると明日大丈夫?」
「いいんだよ、今日はやけ酒だよもう。やってらんないよ。」
このお店の女将さんと、常連客らしき男のやり取りがお店から聞こえてくる。こんなやり取りが本当にあったんだろうなぁ。
「あら、初めて見る顔ね。よかったらどうぞ。」
女将さんが、僕に話しかけてきた。ん?これは幻ではないのか?
「それでは、お言葉に甘えて・・・。」
「いらっしゃい!」
お店に入ろうとするとその刹那、元の世界に戻ってしまった。年月が経って寂れた扉は、びくともしない。
先程の幻は何年前かはわからないが、ここではあんな感じの光景があったのだろうなぁ。
そんなことを考えながら、僕は家路へとつくのであった。
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つづく
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