148.小説『今日も、僕は歩いていく。』第14話 迷った時には、ここに来る。
2023/06/15
※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。
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人間、長い時間を生きているとどうすれば良いのかわからず、道に迷い込んだような状態になることが度々ある。
そんな人々が遠い昔の鶴咲で名付けた地名がある。今日は、そのあたりを散歩しよう。
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いつもの亀んまちアーケードに着いた。相変わらずの人通りだ。ここが賑わっていないのは深夜・早朝くらいだろう。
このアーケードを通りすぎると、そこにたどり着く。
それがここ、考慮橋(こうりょばし)だ。江戸時代に、このあたりの地域では賭け事が盛んに行われていた。もちろん現在は賭博は違法なので賭博場は存在しないのだが、当時は存在したのである。
これにも、ヴェネツィア出身の商人で鶴咲で活躍したルイージ・モンテカンポの息がかかっている。ヴェネツィアには1638年に造られた世界最古のカジノが現存する。この影響もあり、鶴咲にはかつて賭博場があった。
この賭博場に行こうかどうか、”考慮”した当時の人々が、賭博場へと続く橋に考慮橋と名付けたのである。
現在は賭博場は当然ながら存在しない上に橋の上には道ができ、川だった場所は暗渠となっている。それでも名残りでこのあたりは今も考慮橋と呼ばれている。
今は賭博場はないのでこの場所で考慮する人間は通常はいないのであるが、地名の由来を知る私はあえて、何か迷ったことや考えごとがある際はここを訪れることにしている。
う~む、昔々、江戸時代の人々もここで生活のことなどをいろいろと考慮し、賭博場へ向かったのだろう。僕はギャンブルは一切やらないのだが、そういった人々は尊重し、当時の人々のことを想った。
「よし、今日は思いっきり賭けてみるか!」
ん?声が聞こえた気がする。当時の人々の残像か何かだろうか。こういう不思議なこと、たまにあるなぁ。
僕はこの場所にしばらく居座り、考慮した結果、結論が出た。
よし、今夜はラーメンを食べよう。ラーメンとカレーで迷ったが、様々な要素を考慮した結果、今夜はラーメンという結論に至った。
なんだ、そんなことかよ、と思うかもしれないが、食事は毎日の楽しみの一つだ。これくらい時間をかけてもいいじゃないか。
そろそろ日が暮れる頃だ。僕は、考慮橋付近にあるラーメン屋へとのであった。
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つづく
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