136.小説『今日も、僕は歩いていく。』第8話 路面電車に揺られて
2023/06/09
※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。
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僕は歩くことも好きだが、乗り物に乗ることも好きだ。今日は路面電車に乗って、窓からの景色や乗り降りする人々を観察することを楽しもう。もちろん、人間観察といってもジロジロと見るのは不審者なのでしない。基本的に、外の景色を楽しむ。
特に行き先はないのだが、景色を楽しむために始発から終点まで路面電車に乗ることがよくある。どこまで乗っても運賃は同じなのだから、こういうことができる。
今日は、始発・鶴丸子電停から終点・青原(あおはら)電停までの路線に乗るか。青原界隈は、近くに大学があることもあり、学生たちで賑わっている。近年、高齢化が進みがちな鶴咲ではあるがこの青原地区はそういう理由もあって若者が多い。
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僕は、鶴丸子電停から路面電車に乗り込んだ。始発なので当然ではあるが空いており、楽に座ることができる。
鶴丸子電停の次は、オッキアーリ橋電停だ。オッキアーリとはイタリア語で眼鏡という意味だ。その名の通り、水面にも映るアーチはまるで眼鏡のように見える。ルイージ・モンテカンポ一行が江戸時代に鶴咲で架けた橋のうちの1つで、最も有名な橋だ。ここ周辺も、観光地として人気だ。
オッキアーリ橋電停からは観光客をはじめとする、様々な人々が路面電車に乗ってくる。今日も修学旅行生らしき学生たちがいっぱいだ。鶴咲の街、楽しんでくれているだろうか。そして、外国人観光客もちらほら見かける。鶴咲は歴史的な背景もあり、外国人観光客に特に人気がある街だ。港には大型クルーズ船もよく入港する。
オッキアーリ橋電停からいくつか電停を通り過ぎると、鶴咲港ターミナル電停だ。鶴咲の海の玄関口となっており、先述の大型クルーズ船の他にも、離島へのフェリーや高速船などが就航している。僕も、実家は離島にあるので里帰りの時はこの港から船に乗っている。
鶴咲港ターミナル電停の次の次にある電停は、一番大きな電停である鶴咲駅前電停だ。したがって、この電停で乗り降りする人が一番多い。鶴咲駅もターミナル駅となっており、陸の玄関口だ。この電停だけで、この路面電車に乗っている人々が半分くらい入れ替わった。
こうして僕は、終点の青原電停までゆったり路面電車に揺られるのであった。
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つづく
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