126.小説『今日も、僕は歩いていく。』第4話 ゴンドラを眺めながら
2023/06/03
※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。
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僕が住むこの鶴咲の街は、様々な国の影響を受けている。中華圏の人々から影響を受けた、鶴咲中華街は日本を代表する中華街のうちの1つだ。僕もたまにここに中華料理を食べに行く。
他にも様々な国の影響が見られるのだが、特にこの街の特徴と言えるのが、「水の都」と呼ばれるイタリア・ヴェネツィアの影響を受けた街並みだ。江戸時代に外国との玄関口だった鶴咲には、様々な国の人々が来日した。その中の一人、ルイージ・モンテカンポというヴェネツィア出身の商人が江戸時代に鶴咲で活躍した。
このルイージの影響もあり、鶴咲ではヴェネツィア式の街並みが整備されたヴェネツル地区がある。洋風の赤い屋根の建物が並び、その周りには運河が張り巡らされている。
僕は時々このヴェネツル地区の景観を気に入っており、こちらにも時々散歩に出かける。今日も、ここに来ている。
「それにしても本格的な街並みだなぁ。」僕はうっとりし、こう呟いた。ルイージと同行してヴェネツィアから船での長旅で鶴咲にやってきた人々の中には、建築や街づくりに詳しい人々もいたという。だからこのヴェネツル地区は、ヴェネツィアを本格的に模した街並みとなっている。
今日も運河の上を、ゴンドラが通っている。これは観光船なので、地元民である僕は乗ったことがない。様々なところから来たカップルや親子連れなどが、ゴンドラに乗ってゆったりヴェネツル地区の街並みを楽しんでいる。船頭の方々は主に鶴咲人だが、まるでヴェネツィア人かのようなリアルな格好をしている。
ヴェネツィアのサン・マルコ広場を参考に江戸時代に整備された鶴丸子(つるまるこ)広場は、サン・マルコ広場より大きさはだいぶ小さいものの、和の要素も混ざっており、鶴咲らしい独創的な広場となっている。この広場にあるルイージの銅像は、観光地であるとともに、待ち合わせ場所として知られている。
今日も広場は人々で賑わっている。周りには飲食店や商業施設も整備されており、この界隈はいつも人が多い。
広場を抜けて、また運河のところへ向かっていった。またゴンドラが運河の上をゆっくり通行している。
僕はゴンドラを眺めながら、深呼吸し、ヴェネツル地区の雰囲気を堪能した。
「よし、休憩終了!これから頑張るぞ!」
僕はこう呟き、事務所へと戻っていくのであった。
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つづく
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