124.小説『今日も、僕は歩いていく。』第3話 僕が生きる街・鶴咲
2023/06/02
※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名は原則架空のものです。また自由な展開で、突然終了するカテゴリの可能性が高いですが、あしからず。
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僕は、鶴咲(つるさき)という街に住んでいる。現在は市街地のとあるビルに自宅兼事務所を構え、フリーランスでWebサイトやスマートフォン用アプリなどの開発の仕事をしている。故に基本的にここで作業をしているのだが、屋内にいてばかりでは気が滅入ってくる。だから僕は外を歩いて気分転換を楽しんでいるのだ。
鶴咲は歴史ある街で、国内はもちろん、海外からも観光客が訪れている。今日も市街地の亀んまちアーケード街などでは、個性豊かな顔ぶれを見ることができる。
よし、今日は亀ノ屋百貨店の屋上で休憩するとするか。この屋上は、令和となった現在でも昭和の雰囲気が色濃く残っていて、平成生まれの僕としては興味深い。レトロなコインゲームなどのアトラクションが、今も現役で稼働している。
土日は親子連れで賑わうのだが、今日のような平日は比較的人が少ないので、ゆったり休憩するにはもってこいだ。
コインを入れると動き出すパンダ型のこの乗り物、懐かしいなぁ。大人になった今は体重制限で乗れないのが名残惜しい。それだけ僕も、年をとったということだなぁ。
現代の雰囲気も良いのだけれども、たまにはこのようなレトロな雰囲気に浸るのも気分転換になるものだ。
「ボクに乗ってみなよ!」
ん?かわいい声がするなぁ。誰か子どもが来ているのかな?
「ほら、ボクだよ!一時的に大きくなるから体重制限は大丈夫だよ。乗りたいんでしょ?」
パパパ、パンダの乗り物が喋った!?しかもいつもより大きくなってる!?本当に最近は他の人に言っても信じてくれなさそうな不思議なことがあるもんだなぁ。
「ありがとうございます・・・。それでは、失礼します。」僕はお言葉に甘えてパンダ型の乗り物にまたがり、コインを入れた。
そうそう、この感じ、懐かしいなぁ。これに乗ったのは20年以上前になるなぁ。
「前にボクに乗ってくれた時はまだ小さかったよね、久しぶりに見かけて嬉しかったから話しかけちゃった!」
「覚えてくださってるんですね。ありがとうございます。」
こうして僕は、パンダ型の乗り物を楽しんだ。コインを入れてしばらくすると、時間制限で乗り物は止まった。
「すみませんお客さん、こちらの乗り物は子ども用でして・・・。」
この施設を管理している女性の方の声がした。私が来た時には一時的に席を外していたのだろう。
「あ、すみません!懐かしかったのでつい・・・。」
「懐かしいですよね、また乗りたくなる気持ちもわかりますよ。」
いつの間にかパンダの乗り物は小さくなっていた。この管理人の方には大きくは見えていなかったのかもしれない。
こうして僕は亀ノ屋百貨店屋上で休憩したあと、再び自宅兼事務所に向けて、歩いていくのであった。
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つづく
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