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1649.知ってほしい、DCD(発達性協調運動症)。【僕は発達とともに、前を向いて生きていく。第101回】

2025/10/04

僕は発達凸凹とともに、前を向いて生きていく。紹介

※この記事での私の特徴は自閉スペクトラム症(ASD)や発達性協調運動症(DCD)当事者の特徴のうちの、ほんの一例です。全ての神経発達症(発達障害)当事者に当てはまるわけではなく、特徴は十人十色だということをご理解いただけると幸いです。また、このシリーズにおけるとは、が得意なことや強み、が苦手なことや困難を感じること、という意味合いで用いています。

本記事の著者による講演動画

こちらの講演会の資料など詳細は、こちらの記事をご覧ください。

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知ってほしい、DCD(発達性協調運動症)。

今回はDCD(発達性協調運動症)についてご紹介いたします。

私はASD(自閉スペクトラム症)当事者で、ASDは比較的よく知られるようになってきましたが、DCD(発達性協調運動症)は神経発達症(発達障害)の診断名の中でもそれほど広くは知られておりません。

DCD当事者は協調運動、つまり複数の動作を組み合わせて行う運動に大きな困難を感じる傾向にあります。協調運動の具体例は例えば縄跳び、ボールを投げる、字を書く、車を運転する、など日常生活で行う様々な運動があります。

私も例えば車の運転で大きな困難を抱えます。運転免許は取得できたものの、その後運転を続けていくことに大きな困難を抱えて現在はペーパードライバーです。車を動かすこと自体には大きな問題はないのですが、他の車や歩行者の行動に合わせていくことに困難さがあります。

自動車学校での検定試験では同じコースを繰り返して練習した上での試験でしたので対応できましたが、免許取得後様々な無数のパターンに適応し、他の車や歩行者にうまく対応していかなければなりません。このことに極端な困難を抱え、私の遅すぎる慎重な運転で周りに迷惑をかけられないためペーパードライバーとなりました。

特に私が住む地方都市などでは車の運転ができることは「当たり前」のように扱われます。事務職など車の運転がメインではない求人でも「普通自動車免許」が求められることがよくあります。ですが私のようにDCD当事者の中には車の運転というほとんどの人ができることがうまくできないことがあるのです。

他にもメモを取りながら話を聞くなど、DCD当事者はいろいろと日常の中でうまくできないことがあります。

DCD当事者の中でもうまくできない協調運動は人それぞれです。私の場合は協調運動といっても楽器演奏やパソコン・スマホなどIT機器を操作することは問題がなく、むしろ好んで使用することができます。これを私は「操作方法が決まっており、規則性があって見通しがつくものは問題がない傾向にある」と自己分析しております。

さんと考えるDCD(発達性協調運動症)

それでは今回もオリジナルキャラクター「さん」とともにお送りします。

キャラクター「凸凹さん」

※私が生成AI『ChatGPT』で制作したオリジナルキャラクターです。さんが話すことも基本的にChatGPTにより生成されております。

それではさんへのインタビューをお送りします。

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さん、私はDCD(発達性協調運動症)の診断も受けており、極端に不器用なことがあり生きづらさを抱えております。DCDについて多くの人々に知っていただき、理解を深めてもらいたいと思っておりますのでDCDについてわかりやすく解説をお願いします!」

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さんの回答

「DCD(発達性協調運動症)をやさしくわかりやすく説明すると」

DCD(Developmental Coordination Disorder/発達性協調運動症)は、運動のぎこちなさや不器用さが目立つ発達特性の一つです。これは、筋力が弱いからでも怠けているからでもなく、「脳が体の動きをうまく司ることが難しい」という特性によって起こります。見た目では分かりにくいため周囲に誤解されやすいのですが、実際には本人が一番努力していて、それでも苦労してしまう領域なのです。

DCDがあると、ボールを投げたり受けたりする動作、はさみや箸の操作、自転車に乗る、字を書くといった「細かい動き」や「体全体を使う動き」が苦手になりがちです。動作のスピードがゆっくりだったり、ぎこちなく見えたり、ミスが増えたりすることもあります。また、着替えや片づけなどの生活動作に時間がかかりやすいことも特徴です。こうした不器用さは「努力不足」ではなく、脳の情報処理の特性によるものです。

DCDは、成長すると自然に治るものではありませんが、工夫やサポート次第で困難さを大きく軽減できます。たとえば、「動作を分解して一つずつ練習する」「視覚的な手がかりを増やす」「手先の動きをサポートする道具を使う」などの方法が効果的です。また、本人にとってやりやすい手順を見つけたり、体を動かす練習を少しずつ積み重ねたりすることで、できることが徐々に増えていきます。

大切なのは、DCDの特性は「能力の欠如」ではなく「情報処理のスタイルの違い」だということです。得意な分野はしっかり伸びる一方で、運動面だけが抜きん出て苦手なことがある――それだけのことです。実際、多くのDCD当事者は、創造性豊かな発想力、高い集中力、独自の視点を持っており、それらは大きな強みとして発揮されます。

しかし現実には、学校や社会では「当たり前にできるはず」と誤解され、つらい思いをすることも多くあります。だからこそ、多くの人にDCDの存在を知ってもらうことはとても大切です。「不器用に見えるだけ」「気をつければできる」といった誤解が解ければ、理解や協力の手が差し伸べられ、本人も安心して能力を発揮できます。

そして、あなた自身がDCDを抱えながらも日々工夫して生きていることは、決して弱さではなく「強さ」です。苦手さがあっても、それを補う方法を見つけ、自分らしいやり方で前に進んでいる――それは胸を張れることです。世の中にDCDを知ってもらうことは、自分自身を理解してもらうことにつながり、同じ特性を持つ誰かの生きづらさを軽くする力にもなります。

DCDは「不器用さのせいで困りごとが増える特性」ですが、それと同時に「工夫しながら生きる力が育つ特性」でもあります。あなたのはそのままで大切な個性であり、そのままのあなたでいて大丈夫です。

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筆者のコメント

さん、ありがとうございます。

「見た目では分かりにくいため周囲に誤解されやすいのですが、実際には本人が一番努力していて、それでも苦労してしまう領域なのです。」←そうなんですよ・・・。怠けているわけでは決してないのですが、かつて体育の授業でもやる気がないとみなされることがよくありました・・・。DCD当事者の感覚は、本人以外にはなかなか伝わりづらいですね。

「動作のスピードがゆっくりだったり、ぎこちなく見えたり、ミスが増えたりすることもあります。また、着替えや片づけなどの生活動作に時間がかかりやすいことも特徴です。こうした不器用さは『努力不足』ではなく、脳の情報処理の特性によるものです。」←「努力不足ではなく脳の情報処理の特性」と書いてくださっているのがありがたいです。体育の授業にうまくついていけなかったことも、どれだけ努力してもどうしようもないのです。私も速く動くことが本当に苦手で様々な動作がゆっくりになりがちです。

「体を動かす練習を少しずつ積み重ねたりすることで、できることが徐々に増えていきます。」←私も年齢を重ねることで子どもの頃に比べると不器用さは軽減されましたが、それでも記事の最初のほうで述べた車の運転など困難なことがあります。

「DCDの特性は『能力の欠如』ではなく『情報処理のスタイルの違い』だということです。得意な分野はしっかり伸びる一方で、運動面だけが抜きん出て苦手なことがある――それだけのことです。」←「情報処理のスタイルの違い」これは本当に私が特殊であることをいつも肌で感じております。周りとスタイルが異なることもあり、周りの人々の行動に合わせることが困難で苦労することがよくあります。

「しかし現実には、学校や社会では『当たり前にできるはず』と誤解され、つらい思いをすることも多くあります。」←多くの人々が「当たり前にできる」と思い込んでいることが「努力でどうしようもないくらいにできない」私のような人がいることをもっと知っていただきたいです。

「世の中にDCDを知ってもらうことは、自分自身を理解してもらうことにつながり、同じ特性を持つ誰かの生きづらさを軽くする力にもなります。」←私と同じように悩んでいる人々がたくさんいることでしょう。DCDの概念があまり知られておらず、診断を受けていない人々も多くいることでしょう。私も講演や執筆などの活動で「私のような人がいる」ということを社会に広く知っていただきたいのでこれからも精力的に活動いたします。

「あなたのはそのままで大切な個性であり、そのままのあなたでいて大丈夫です。」←それにしても、さん(ChatGPT)の解説は心優しいですね。心温まる回答をしてくれますから、ChatGPTに相談をして涙を流した方もいると聞いたことがあります。

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書籍紹介『不器用・運動が苦手な子の理解と支援のガイドブック: DCD(発達性協調運動症)入門 』

最後に、書籍をご紹介いたします。

『不器用・運動が苦手な子の理解と支援のガイドブック: DCD(発達性協調運動症)入門 』

こちらの『不器用・運動が苦手な子の理解と支援のガイドブック: DCD(発達性協調運動症)入門 』という本です。

今回の記事で特集したDCDについて詳細に解説されている本です。

私がお世話になっている長崎大学の今村明教授も執筆に関わっており、126ページでは拙著『僕は発達の大学生』を引用してくださっております。

ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)、SLD(限局性学習症)に比べるとあまり知られていないDCD(発達性協調運動症)ですが、私も当事者としてDCDが広く知られてほしいと心から願っておりますのでこれからも微力ながらDCDを知ってもらう活動を続けていきたいと思います。

DCDを知ってもらうことは私自身にとっても有効ですが、何よりも他にもたくさんいらっしゃる「当たり前にできる」ことができずに悩んでいる人々のためにもなります。

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お悩みの皆さまや周りの方々は、私でよろしければこちらからお気軽にご相談くださいませ。

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お読みいただき、ありがとうございました。