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1563.ヴェネツィアの象徴といえる場所、サン・マルコ広場。【ヴェネツィア ~第二の故郷~ 第2回】

2025/09/01

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ヴェネツィア ~第二の故郷~

ヴェネツィア ~第二の故郷~

私はイタリアの「水の都」と呼ばれる街、ヴェネツィアに約1年間留学した経験があります。

『ヴェネツィア ~第二の故郷~』と題した本企画は、私がヴェネツィア留学の思い出をヴェネツィア出身という設定のオリジナルキャラクター「マルコ」「キアーラ」とともに語っていく企画です。

それでは今回も前回に引き続き、マルコとキアーラにいろいろと語っていただきましょう。

今回は「サン・マルコ広場(Piazza San Marcoピアッツァ・サン・マルコ)」という場所について書いてみます。

サン・マルコ広場

こちらの写真は私が初めてサン・マルコ広場を訪れた時に撮影したものです。それから何度もサン・マルコ広場を訪れましたが、訪れるたびに鳥肌が立ち、感動を覚えていました。

霧のサン・マルコ広場

夜霧がきれいなある夜に訪れたサン・マルコ広場です。その幻想的な雰囲気は一生の宝物です。

マルコとキアーラによる解説

サン・マルコ広場にあるバールでスプリッツを飲むマルコとキアーラ。

※これらのキャラクターのイラストはChatGPTにより制作したものです。セリフの文章もChatGPTで生成したものに私が手を加えております。解説される歴史的内容は諸説ある場合があります。参考程度にご覧くださいませ。

この色が右にいる男性・マルコの発言です。

この色が左にいる女性・キアーラの発言です。

そしてこの色は私による文章です。

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チャオ(やぁ)、マルコ!チャオ、キアーラ!ヴェネツィアを象徴する場所といえばサン・マルコ広場ですね。サン・マルコ広場についていろいろと解説してください!

チャオ!サン・マルコ広場は、僕らヴェネツィア人にとって“家の居間”みたいな場所。東には金色のモザイクが輝くサン・マルコ寺院、西と北と南を長く囲むのがプロクーラティエの回廊。朝に行けば石畳がまだ海風でひんやり、夜はオーケストラの生演奏が小さな星みたいに灯りを散らすんだ。

そして南側にぐっと伸びるのがカナル・グランデ(大運河)へ続く小広場、柱の上には聖テオドーロと翼のある獅子。港町だった記憶の門よ。時計塔の青い天球が時を告げると、広場の空気が少し背筋を伸ばす。商人の街、儀式の街、そして出会いの街のリズムがそこに重なるの。

見上げればカンパニーレ(鐘楼)。褐色の塔は“市の見張り”みたいな存在で、てっぺんからは潟もラグーナも見渡せる。昔は船乗りが帰港の風を読むための目印でもあった。広場の真ん中で鐘が鳴ると、会話のテンポまで少しだけ速くなるんだよ。

石畳には行列の足音、雨のしずく、カフェの椅子を引く音――音の記憶が敷き詰められているみたい。カフェといえばフローリアンとクアドリ。鏡と金箔の室内は19世紀の手紙の香りがする。エスプレッソ一杯が小さな観劇券になるわ。

ナポレオンが「ヨーロッパの応接間」と呼んだのも納得だよ。大使が到着するたび、ここで行列が整い、共和国の威厳を見せた。今でもカーニバルの季節は、石畳が即席の舞台。コスチュームの裾が風に揺れて、カメラのシャッターが拍手みたいに鳴る。

季節の顔も豊か。冬の霧に包まれると、装飾が水彩画の輪郭みたいにやわらぐ。春はカモメの影がモザイクの金を跳ねさせる。夏は日差しが強いから、回廊の陰が私たちの回復スポット。秋は空が高くて、鐘の音がさらに遠くへ届くの。

アックア・アルタ(高潮)の日は木の渡し板“パッセレッレ”が並び、広場が巨大な鏡に早変わり。観光客は大騒ぎだけど、僕らにとっては季節の挨拶だね。「長靴はいた?じゃ散歩しよう!」って。水に反射した寺院のファサード(正面のデザイン)は、何度見ても新しい。

ハトの餌やりが禁止になって、装飾の保存が少し楽になったのも広場の今の顔。守ることは手放すことでもあるの。古いものを愛しつつ、人が集う場所としての秩序を保つ――それがこの広場の礼儀作法。

おすすめの歩き方?朝一番、まだオーケストラが眠っている時間に回廊へ。コーヒーをテイクアウトして、寺院の金のモザイクが最初の光を受ける瞬間を待つ。影が短くなる頃にはカンパニーレへ上って、赤い屋根の海に“ボンジョルノ!”だ。

そして夕方は逆回り。回廊の店先で小さな甘い焼き菓子、外ではスプリッツ(ヴェネツィア生まれのカクテル)。奏者がワルツを弾き始めたら、会話を少しだけゆっくりにして、音の余白を味わうの。広場は「時間の器」。急いで通り抜けるより、注いで、揺らして、香りを確かめて。

迷ったら空を見上げてごらん。鐘楼が方角を、時計塔が時刻を教えてくれる。あとは笑顔で歩けばいい。ここは共和国の心臓、でも同時に、僕らの日常のポケットなんだ。

ベンヴェヌーティ(ようこそ)、サン・マルコ広場へ。あなたの足音も、きっとこの石畳に記憶されるわ。次に来たとき、その音があなたをまっすぐここへ連れてくるから。

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マルコ、キアーラ、グラツィエ!(ありがとう!)

ヴェネツィアの地元民ならではのカジュアルな解説でしたね。より専門的で客観的な解説はWikipediaなどにお任せするとして、ヴェネツィアをよく知る二人ならではの解説をありがとう!

約1年間、学生としてヴェネツィアに住んでいた私にとっては新鮮なお話でいっぱいでした。観光客として訪れたわけではないので、お話に出てきた『フローリアン』や『クアドリ』といったお店も知りませんでした。

いつか必ず、観光客として再び訪れたい街ですのでこれからもマルコとキアーラのお話を興味深く聴くことでしょう。

読者の中で、ヴェネツィアに興味がある皆さまのご参考にもなれば幸いです。

それではまた次の回で。チャオ!

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お読みいただき、ありがとうございました。