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1255.【小説】或除者の独白 幼少期編 第5話

2025/03/05

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或除者あるのけものの独白

幼少期編

第5話

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私にとって、体育の授業は苦手なことのフルコースでした。

ここでは、長縄跳び大会についてのエピソードをお話ししましょう。

私がいた小学校では、毎年長縄跳び大会が実施されました。

長縄で何をするかというと、所謂いわゆる8の字跳びという競技をやります。

これは人々がローマ数字の8の字のように並んで、2人の人が回す長縄を順番に跳んでいくものです。

ああ・・・!

この競技は思い出すだけで心の中に湧き上がる邪悪!なぜこのような苦行を強いられたのか・・・!

もちろんこの競技が好きな人はそれで良いのですが、私にとっては嫌悪感でたまらない競技です。

なぜかというと、私はうまく跳ぶことができなかったからです。

運動神経が良い子を中心に、縄が1回転するとすぐさま次の人が入り、連続して跳んでいきます。

私は・・・、子どもの頃は特に運動のセンスが著しくなかったものですから、前の人が跳んですぐ、どころか何度タイミングを見計らってもうまく跳ぶことができませんでした。

うまく跳ぶことができないと、縄に当たります。当時の私は極度の怖がりでしたから、怖がりながら縄に入り、身構えながらもうまく跳べず、そのまま退場する、という流れになりました。

私がまごまごしているこの間、大きなタイムロスとなってしまいます。スムーズにみんなが跳べば10回以上は跳べた時間を、私の鈍臭さが台無しにしてしまっていたのです。

「おい真田・・・勘弁してくれよ!お前がいるから優勝なんてできっこないじゃないか!」

運動神経抜群の寺石くんが私に苛立ちました。

「ちゃんと跳んでくれよ。なんだよその変な動き!」

寺石くんが更に私に言います。

当時の私は極端に無口な上に表情にも乏しかったため、口惜くやしい気持ちがありながらもほぼ無表情で黙って見ていることしかできませんでした。

ほとんどの男子はもちろん、女子でもスムーズに跳ぶことができる子どもが大半でした。

そんな中で私がクラスの足を引っ張ったこともあり、私がいたクラスは6年間で一度も優勝することはありませんでした。

この「足を引っ張る子」が私だけの年もありましたが、学年によっては私のようにうまく跳べない子が他にもいた年もありました。その時は比較的心が楽でした。

個人競技ならば私だけが成績が悪くて済みますが、クラス全体の成績が悪くなってしまうことに当時の私は無表情で無口なことが多いながら、申し訳ない気持ちがありました。それをうまく表現できなかったので、私が申し訳ないと思っていることを周りの子どもたちは知らなかったかもしれませんが、そう思っていたのです。

体育の授業については、他にも話すことがいっぱいありますが、とりあえず今回は長縄跳び大会について述べました。

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つづく

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