1258.【小説】或除者の独白 幼少期編 第6話
2025/03/06
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或除者の独白
幼少期編
第6話
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私は周りに合わせて行動することが、特に子どもの頃は極端に不得意だったため学校行事でもいろいろと苦戦しました。
一般的に「楽しい行事」と言われる修学旅行も、私はそれほど楽しんだ記憶がありません。
修学旅行では、常に班行動です。班の動向に合わせて動いていかねばなりません。
まずは修学旅行の前、班を決めるところから述べましょう。
修学旅行で班を決める際に、大体仲が良い人で集まって決める傾向にあることでしょう。
当時の私には、仲が良い人なんていません。嗚呼、何の努力もせずとも自然に友達を作れる人には、私のような人がいることは「わけがわからない」ことでしょう!しかし、私からすれば、どうしてみんな自然に仲良くなれるのかが、「わけがわからない」のです!
結局、一人空きがある班に入れてもらうことがよくありました。修学旅行に限らず、班を決める際の私にはこういう傾向がありました。
さて、肝心の修学旅行に最中ですが、常に班になって動き回ることになります。私は班からはぐれないように集中することが一番印象に残っております。様々な場所で、いろいろと見て回ったことを覚えているものですが、班からはぐれてはならないと思って班の動向についていくことに力を使っていました。
当時の私は極端に無口で、感情もあまりなかったので班の人との会話もほとんどなかったことを記憶しております。当時の私は何を話せば良いかわかりませんでしたし、周りの会話が速いのでついていけなかったということもありました。
特に修学旅行で思い出深かったのは、ホテルで大浴場に行く際です。
要領が良くない私は、部屋を出る前に準備するのにも手こずり、時間がかかりました。部屋を出ようとすると、既に班の他の人たちは皆いなくなってしまっていたのです。
ホテルの地図を持っていた班長もどこかに行ってしまっていたので、私は大浴場がどこかわからず困惑しました。当時の私は規律を守ることに忠実すぎるあまり、班からはぐれてしまった、とパニックになってしまいました。
また、当時の私は泣き虫でしたので、小学6年生ながら泣きながらホテルを彷徨い歩きました。やがてホテルの受付に行き、大浴場の場所を聞いて教えてもらい、事なきを得ました。当時の私は受付に何かを尋ねることにすら大きな勇気が必要でしたが、非常事態でしたので聞くことができたのです。
・・・、奇妙でしょう。私の修学旅行の思い出は。修学旅行の思い出、と聞かれてこんなことを話し出す人は異常者のようかもしれません。しかし、こういう人もいるのです。私のような人は少なからずいますし、今の子どもたちにもそういう子はいることでしょう。そういったことを、私はここで伝えたいのです。
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つづく
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