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1256.【映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』感想】ノーベル文学賞も受賞した伝説的シンガーソングライター、ボブ・ディランの若き日の人柄と交友関係が描かれた物語を、名曲たちとともに堪能いたしました!

2025/03/05

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今回は、映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』を鑑賞いたしましたので、そのことについて書いていきます。

ボブ・ディラン

『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』は、2016年にはノーベル文学賞も受賞したアメリカの伝説的シンガーソングライターのボブ・ディランの若き日(1961年から1965年)を描いた物語です。

この名前を聞いてピンと来ない方も、『Blowin' in the Wind(風に吹かれて)』、『Like a Rolling Stone(ライク・ア・ローリング・ストーン)』といった代表曲を聴くと、聴いたことがあるかもしれません。

洋楽をあまり聴かない方でも、例えばガロの楽曲『学生街の喫茶店』の歌詞にその名前が登場しますので名前はご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

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映画を彩るボブ・ディランの名曲たち

『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』では、劇中でボブ・ディランの様々な名曲が流れます。演奏したのはディランを演じた俳優のティモシー・シャラメです。本業が俳優でミュージシャンではないながら、自らギターを演奏して歌を披露しておりました。風貌や語り口はもちろん、音楽でもディランになりきっておりました。実際に当時のディランがこのような感じだったのだな、と想像することができました。

私はボブ・ディランの楽曲にはこれまでも親しんでおり、楽曲が流れるたびに「お、この曲だ」とテンションが上がりました。それぞれの楽曲ができる背景のエピソードも劇中で語られておりましたが、個人的には『Highway 61 Revisited(追憶のハイウェイ61)』という楽曲の冒頭のサイレンホイッスルのエピソードが興味深かったです。調べてみると劇中でのエピソードは事実ではなく創作のようですが、サイレンホイッスルに興味が出てきましたし、この曲をこれから聴くたびにこの映画のシーンを思い出すことでしょう。

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ボブ・ディランの交友関係

『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』では、ボブ・ディランの交友関係も描かれておりました。劇中でフォーク歌手のウディ・ガスリーが入院している病院にお見舞いに行くエピソードが紹介され、ウディのために作った楽曲『Song to Woody』が紹介されましたね。この楽曲自体は聴いたことありましたが、実際にウディ本人にこの時会っていたのですね。

他にもピート・シーガーやジョニー・キャッシュといった先輩歌手との交流や、同じ時代を駆け抜けたジョーン・バエズと共に歌唱するシーンも流れて、ディランとどのように関わりがあったのかを知ることができました。ジョニー・キャッシュとは1969年のアルバム『Nashville Skyline(ナッシュヴィル・スカイライン)』で実際にも共演していたのですね。

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有名になることの苦悩

『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』の劇中にて、ディランが売れていき、有名になっていく様子が描かれますが、有名になると街を歩いているとすぐに気づかれてしまい自由度がなくなっていくことが描かれておりました。

劇中でディランがそのことを冷静に捉えていることが印象的でした。有名になったからといって大衆に迎合せず、我が道を行く様子を読み取りました。とはいえすぐに気づかれないようにか、途中からサングラスをかけていましたね。

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ディランはフォークだけではない

やはりディランは『Blowin' in the Wind(風に吹かれて)』のイメージがどうしても強く、現在でも「フォーク歌手」というイメージを持たれがちです。

しかし劇中で「俺はフォークじゃない」「いろんなジャンルの音楽が好きだ」といった旨の発言をディランがしており、フォークも演奏しますが、その枠に囚われていないことが語られています。

アコギとハーモニカで演奏していると、どうしてもフォークに見られがちです。初期のディランはそのスタイルでしたが、1965年に急遽変貌を遂げました。

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ニューポート・フォーク・フェスティバル(1965年)

劇中の最後のほうで、1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルのシーンがありました。

フォーク・フェスティバルですから、アコギを中心とした演奏でやってきたフェスティバルなのですが、ここでディランはエレキを持って登場し観客を驚かせました。

フォークが聴きたい観客が困惑し罵声を浴びせながらもエレキでロックを演奏したディランのシーンには痺れました。ディランはロックンローラーだと思いました。

それまで静かに演奏するフォーク歌手として見られていたディランが、エレキを掻き鳴らして大音量で演奏する様子は、当時の人々にとっては賛否両論だったことでしょう。

そして現在は明らかなように、ディランのこの変貌が世界の音楽に大きな影響を与えました。同時代に活躍したビートルズなどとともに、ディランは世界の音楽を変えていきました。

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最大のディランブーム到来

『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』を鑑賞したことにより、私の中でこれまでで最大のディランブームが到来しました。これから当分、ボブ・ディランの楽曲をいろいろと聴いていくことでしょう。

私はアコギも弾きますので、早速ディランの楽曲をいろいろと弾き語ってしまいました。映画館の大迫力でディランの名曲たちを堪能できましたので、こうなるのも仕方がありませんね。

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これからも転がり続ける生ける伝説 ボブ・ディラン

『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』の劇中では1965年までが描かれましたが、ボブ・ディランはその後も活動を続けており記事執筆現在で83歳ながら現役で活躍しております。まさに生ける伝説です。

世界中の音楽を変革し、またそのメッセージ性のある歌詞で2016年にはノーベル文学賞を受賞した伝説的シンガーソングライターのボブ・ディランは、これからも人々に大きな影響を与え続けることでしょう。

ボブ・ディランの魅力に改めて気づく機会を得ることができました。ありがとうございました。