1182.【小説】公園の亀趺 第28話
2025/01/30
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公園の亀趺
第28話
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再び、ずっと後の時代のことである。
少年が、まだまだ亀趺から昔話をいろいろと聞いている。
「へぇ、ふゆさんの子どもは、なんという名前なの?」
少年は亀趺に尋ねた。
「武夫という名前ですよ。ふゆさんは武兵衛さまや武之助さんと実際に会ったことはないのですが、はるさんからお話を聞いてから武の字をもらおうと思ったそうです。」
「へぇ、そうなんだ!そういえば、僕の名前にも武の字が入ってるよ!」
「それは知りませんでした。よろしければ、お名前を教えて下さいませんか?」
亀趺は少年の名前を尋ねた。すると少年は名前を土に指で書きながら、次のように言った。
「僕の名前は、武空!」
「ずいぶん個性的な名前ですね。確かに空の字は空くと読みますが。」
少年は、この令和の時分らしい個性あふれる名前だ。
「武空、ここにいたか!」
「ひいおじいちゃん!」
武空のひいおじいさんが現れた。もう九十歳くらいだろうか。
「そういえば、僕のひいじいちゃんも、武夫っていうんだよ!偶然だね!」
少年が亀趺に話しかける。
「よ〜く知っておりますよ。この武夫さんが、ふゆさんの息子なのですから。」
「え〜!!!」
少年は大変驚いた。
「どうした、武空。その亀さんから昔のことを聞いたのかい?」
「ひいおじいちゃん!この亀さんを作ったの、僕のご先祖様なの!?」
「どうもそうらしい。俺も亀さんやお母さんたちから話を聞いただけだから実感は湧かないのだがな。俺が亀さんと喋れるのは秘密にしていたんだが、ついに亀さんが武空にも話しかけたか!」
武夫は嬉しそうにしている。
「武夫さんには、はるさん、なつさん、あきさん、そしてふゆさんたちの跡を継いでわたしを管理していただいていますよ。」
無論、武夫と武空の間にも何人も親族がいるのだが、なぜか亀趺は武夫の跡継ぎに武空を選んだ。亀趺にとっては武空が何者かは最初からわかっていたのだが、知らないふりをしていたのである。
「なぜ武空に話しかけようと思ったんだ?」
武夫が尋ねる。
「・・・。」
またもや朝露が、涙に見えた。
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つづく
ちなみに亀趺は実在するものであり、こちらの記事でまとめております。

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