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1179.【小説】公園の亀趺 第27話

2025/01/29

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公園の亀趺きふ

第27話

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武杵園ができて、更に長い年月が経った。

武兵衛の娘・はるは齢八十である。既にこの世を去った梅吉の享年に並んだ。

はるの娘・なつは齢六十である。はると共に、長年武杵園を管理してきた。

なつの娘・あきは齢四十である。あきもやはり、亀趺の声を聞くことができることもあり武杵園を管理している。

あきの娘・ふゆは齢二十である。そしてふゆも、亀趺の声を聞くことができる。こうして代々、武兵衛の末裔が武杵園、そして亀趺を管理しているのだ。そして亀趺の声を聞くことができる人々は、亀趺の力で守られており、武杵園のすぐ近くに亀趺がこしらえた新たなお屋敷に住んでいる。

そしてこの度、武兵衛の玄孫にあたるふゆが梅吉の玄孫にあたる梅光うめみつと縁があり、梅光との子どもを身籠っている。今日新たな生命が誕生する予定だ。武兵衛の一族と梅吉の一族が交わる初めての瞬間である。

とはいえふゆも梅光も、武兵衛や梅吉とは会ったことがないのでその事実をよくわかっていない。はるにそのことを伝え聞いているとはいえ、だいぶ前の時代のことなので実感がわかないのもしようがない。それだけ長い年月が経っているということだ。

「生きている間に玄孫の顔を見ることができるなんて、長生きしてみるものですね。」

はるは感慨に浸っていた。

「私にとってもひ孫ですから、お母さんは本当に長生きですよ。」

なつがそう言った。

「それを言っちゃあ、おばあちゃんがいて、孫ができる私も不思議な感じだわ。」

あきがそう言った。

「「「がんばれ、ふゆ!」」」

3人がふゆを見守っている。

ふゆのお産は、少し時間がかかった。

・・・次の瞬間、産声がお屋敷中に響き渡った。

赤ん坊にしてはかなり大きな男の子である。

「あら、かわいい玄孫ですね!」

「あら、かわいいひ孫ですこと!」

「あら、かわいい孫だわ!」

「生まれてきてくれてありがとう、私のかわいい息子!」

4人はそれぞれ感動していた。

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つづく

ちなみに亀趺きふは実在するものであり、こちらの記事でまとめております。

長崎市の松森天満宮で撮影した、亀趺(きふ)と呼ばれる亀の形をした土台。