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1177.【小説】公園の亀趺 第26話

2025/01/28

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公園の亀趺きふ

第26話

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武杵園ができてからしばらくの時間が経ったころの話である。

「おお・・・、武杵園はますますきれいになっていくなぁ。」

かなりの高齢男性が、武杵園の景色にうっとりしている。この時代にしてはかなりの長生きであるが、まだ足腰もしっかりしており度々武杵園を訪れている。

「梅の花もきれいだ・・・。」

この男性は、特に梅に愛着があるようである。

「ひいじいちゃん!」

まだ五つくらいの小さな娘がこの男性を追いかけてきた。

「おお、おゆき。梅の木は好きかい?」

「好き!」

「それはよかった!」

この男性は、ゆきという名前のひ孫娘をかわいがっている。

「ひいじいちゃん・・・ちょっと寒い!」

ゆきは、寒そうにしている。今日は曇りである。

「よし、こうしましょう。」

やはり武杵園の隅にいる亀趺は、こう心の中で呟いた。

その刹那、雲がさっとひいて、さんさんと太陽が照り注いできた。

「うわぁ、お日さまだ!あったかいよ、ひいじいちゃん!」

「よかったなぁ、おゆきが寒そうなことをお天道様も心配したのかもしれないな。」

こうしてこの男性とそのひ孫娘はしばらく武杵園で日なたぼっこをした。

隅で、亀趺が微笑んでいるように見える。

「かわいいひ孫さんですね、梅吉さん。」

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つづく

ちなみに亀趺きふは実在するものであり、こちらの記事でまとめております。

長崎市の松森天満宮で撮影した、亀趺(きふ)と呼ばれる亀の形をした土台。