1151.【小説】公園の亀趺 第14話
2025/01/16
...
公園の亀趺
第14話
...
武兵衛はこの日の商いも終わり日が暮れて、川に遊びに行っていた武之助の帰りを待っていた。
「武之助・・・遅いな。」
「もう日もどんどん暮れていきますね。」
武兵衛の側で、きねも武之助を心配している。
はるは、お屋敷の広間で大の字になって眠っている。
「旦那!てぇへんだ!」
近所に住んでいる男が、お屋敷を訪ねた。
この男は、武之助の友達・梅三郎の父親の梅吉である。父親同士でも飲み仲間となっており、家族ぐるみの付き合いがあるのだ。
「ん?なんかあったのかい?」
「武之助が流されたかもしれねぇ!」
「なんだと!?」
それを聞いた瞬間、武兵衛はすぐにお屋敷を出て川へ走っていった。
「武之助・・・!武之助・・・・・・!」
武兵衛は我が子を無我夢中で探した。
「旦那、これを使ってくだせぇ!」
後から川に来た梅吉が、武兵衛の分の行灯も持ってきてくれた。二人で一緒になって武之助を探し続けた。
「・・・旦那、また日が昇ってきました。」
「武之助・・・。」
二人は一晩中武之助を探し続けたのだが、とうとう見つけることができなかった。
...
つづく
ちなみに亀趺は実在するものであり、こちらの記事でまとめております。

- ...
-
『公園の亀趺』前の話へ
-
『公園の亀趺』各話一覧
-
『公園の亀趺』次の話へ
-
「小説・物語」カテゴリの記事一覧
- ...
- ...
-
前の記事へ
-
ブログのトップへ戻る
-
次の記事へ