1147.【小説】公園の亀趺 第12話
2025/01/14
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公園の亀趺
第12話
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武之助は友達と一緒に川で遊んでいる。
「武之助〜!ほい!」
やんちゃな男の子・梅三郎が、バシャリと武之助に水をかけた。
「梅三郎、やりやがったな!お返しだ!」
武之助もその男の子に水をかけ返した。よくある子どもの川遊びの風景である。
無論、親の言いつけを守って浅瀬でのみ遊ぶように心がけている。
「かにさん、こんにちは!」
おとなしめの女の子・みつが、蟹に挨拶をした。このあたりの浅瀬には、蟹もよくいる。
ふとしたら、蟹がはさみを振り上げた。
「あら、かにさんがわたしにあいさつを返してくれた!」
「みっちゃんがものすごい笑顔だ!」
笑顔になるみつにつられて、梅三郎も嬉しそうだ。
お察しのとおり梅三郎は、みつに好意を寄せている。しかし、みつはそれに気づいていない。
「なんでそんなにうれしそうなの?」
「そ・・・それは・・・。」
みつが尋ねると、梅三郎は照れくさそうな表情をしている。実に微笑ましい光景である。
「・・・おい、武之助どこいった?」
「そういえば・・・知らないわ。」
みつが蟹に、梅三郎がみつに、それぞれ夢中になっている間に武之助の姿が見当たらない。
どこに行ったか、武之助。
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つづく
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