1145.【小説】公園の亀趺 第11話
2025/01/13
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公園の亀趺
第11話
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武之助が亀を助けてから少し後の時分である。
「お父さん、友達と川に遊びに行っていいかな?」
武之助が仲良くしている仲間たちと一緒に川に行きたいと言った。
「うん、いいが、くれぐれも気をつけるんだよ。」
武之助はこのように、家族とだけでなく友達ともよく川に遊びに行っていた。
武兵衛はこの日も、何気なく武之助を送り出した。
「武之助はまた川に行ったよ。」
「まぁ、あの子は本当に川が大好きね。心から好きになれることがあるのは、いいことだわ。」
きねは、武之助の川への興味に感心していた。
「はるは、出かけなくてもいいのかい?」
武兵衛が、今日は家にいるはるに尋ねた。
「このお話を読んでるとたのしい!だから平気。」
はるは出不精である。家で御伽草子を読むことが最近の楽しみだ。
「今日は何を読んでいるんだい?」
「一寸法師!」
「なんだい、お前も川絡みかい!おもしれぇ兄妹だ!ははははは。」
武兵衛は愉快な気分となり、笑っていた。
・・・武之助が仲間と川に出かけてからしばらく経ち、日も暮れようとしていた。
「旦那!てぇへんだ!」
近所に住んでいる男が、武兵衛のお屋敷を真剣な様子で訪れた。
「ん?なんかあったのかい?」
武兵衛は何事かと思ったのである。
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つづく
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