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1134.【小説】公園の亀趺 第6話

2025/01/08

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公園の亀趺きふ

第6話

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武兵衛の娘・はるが嫁ぎに行ってお屋敷を離れてから一月が経った。

武兵衛はお屋敷に一人きりになってしまった。娘を笑顔で送り出したものの、本心は寂しくてしようがない。

はるがいなくなってからは、しばらく食欲もどこかに行ってしまっていた。

それでも、一週間ほどすると心を持ち直してきた。商いをしている武兵衛のところへ訪れる人々や、武兵衛の飲み仲間や遊び仲間と話をしているうちに元気が出てきた。

やはり、話し相手というものは大事である。誰も一人では生きることができない。一人が良い、と言う人もいるが、その人も誰かとつながっているのだ。つまりは、一人でいる時間も、誰かと関わる時間も、どちらも尊い。

「・・・はるは、元気かなぁ。」

武兵衛は、一人ぼっちのお屋敷でこう呟いた。

「はるさんは、お元気ですよ。」

「・・・!?」

誰の声かわからない声がしたので、武兵衛は驚いた。

「誰か、俺の家にいるのか?」

警戒のあまり、武兵衛は大声でこう言った。

「ずっといますよ。もうかれこれ10年くらい。」

謎の声はそう言った。

「どういうことだ?何を言っているんだ?」

「ほら、わたしはここにいますよ。」

誰の声だろう。そう思いながらも武兵衛は、恐る恐る声のする方向へ歩みを進めた。

「声の主は、わたしですよ。」

「君だったのか・・・!?」

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つづく