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1130.【小説】公園の亀趺 第4話

2025/01/06

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公園の亀趺きふ

第4話

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お屋敷に亀趺がつくられてから一月あまりが経った。

お屋敷の娘・はるは今日も庭で寝転がっている。空はきれいに晴れている。

「はる、今日も気持ちよさそうね。」

こう話しかけたのは、はるの母・きね、つまり武兵衛の妻だ。きねはこのお屋敷の隣村の出身で、10年前に武兵衛の家に嫁いだ。

「こうやっておてんとさまを見てると、気持ちいい!」

「まぶしくないようにね。」

太陽が照らしているのは、はるだけではない。亀趺もまた、太陽に照らされているのだ。

それにしても、太陽の力は実に偉大だ。実際に天気の良い日はもちろん、そうでない日でもあの暖かくて優しい光を想像するだけでも気分が良くなってくる。

いつの時代も、我々人間をはじめとするあらゆる生物が太陽の恩恵をこうむってきたことであろう。太陽がなければ、我々は生きることさえできないのだ。

「ただいま!」

しばらくすると、武兵衛が家に帰ってきた。日は沈もうとしていた。

「おかえりなさいませ。」

きねが出迎える。

「おい、はるはまたそんなところで寝てるのか?」

武兵衛は微笑みながらそう尋ねた。

「ひなたぼっこが好きなところも、あの子にそっくり。」

あの子、とは亡くなったはるの兄、武之助のことである。武之助がまだ生きていた時分には、兄妹ふたりでひなたぼっこをしたこともあった。

「お兄ちゃん・・・お空で元気にしてるかな。」

「おや、寝言だ。」

はるの寝言に、武兵衛が反応した。はるもやはり、兄のことを思い出すようだ。

その瞬間、亀趺が橙色に光ったように見えた。

夕焼けがそうさせたのか、それとも亀趺に宿るなにかがそうさせたのかは、誰も知らない。

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つづく