山田隆一公式サイト

422.小説『おれたち、鶴咲サンクス!』第10話 カントリー・カフェ&バー You

2023/10/10

※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。

...

羅門譲は、鶴咲の繁華街・考慮橋で祖父の羅門勇吉に遭遇したので、一緒に勇吉が経営する店に行くことにした。

「日本での大学生活はどうだ?高校はアメリカだったから、馴染むの大変じゃないか?」

勇吉は孫を心配している。

「爺さん、それはno problem、問題ない。おれはもともと鶴咲生まれだし、大変さより、ここでagain、再び生活できていることによる懐かしさのほうが強いよ。」

「それは良かったぜ!よし、もうすぐ俺の店だぜ。」

こうして勇吉の店に着いた。

...

勇吉が経営している店『カントリー・カフェ&バー Youユー』は、その名の通りカントリー・ミュージックの雰囲気があるお店だ。羅門の実家があるニューヨークの都会的な雰囲気とは異なる、カントリー、つまり田舎のアメリカを味わうことができるお店だ。

「Wait、待て、あの男はまさか?」

「あれ、羅門じゃないか!店主が同じ苗字だなと思ったがやっぱり親族なんだな!」

「やっぱり鳥元か!」

かつて羅門がバンドを組んでいた同じ大学の鳥元がアルバイトとして働いていた。バンドの脱退理由がバイトが楽しいから、とのことだったが、勇吉の店でも働いていた。

「やっぱりいろんなお店で働くと楽しいなぁ!いろんなお店で、いろんな人間模様がわかる!」

鳥元は、いくつもバイトを掛け持ちして、いろんなお店で働きたいので短期のものを積極的に選んでいる。

「鳥元くんはよく働いてくれるぜ。1ヶ月だけと言わず、もっといてほしいくらいだよ!」

勇吉も太鼓判を押す。しかし1ヶ月だけの契約のようだ。鳥元は大学の授業にもあまり出席できていない。しかし、”プロのフリーター”として活躍できるほど、引く手あまたになりそうな勢いだ。

「今日は俺のおごりだ。譲、好きなだけ頼めよ!」

「Thanks、ありがとう爺さん。それじゃ、お言葉に甘えて。」

羅門は、Youステーキセットとウイスキー・コックを頼んだ。ウイスキー・コックとは、ウイスキーのコック・コーラ割りだ。このお店で使われているのは、マイルドマーキー(Mild Markey)というバーボン・ウイスキーだ。

「酒が飲める。バイクじゃなくてtram、路面電車でここまで来たのが正解だったな。ところでなんでおれは路面電車に乗ろうと思ったんだっけ?」

夢の中でNightramという夜の路面電車を題材にした楽曲を披露したのをすっかり忘れている羅門であった。

...

「お待たせ譲、Youステーキセットと、ウイスキー・コックだよ。」

「Wait、待て、もう来たのか?」

「鳥元くんがものすごい速さで作ってくれるからな。」

「鳥元、great、すごいな。それじゃ、いただきます!」

こうして羅門は、勇吉の店で食事をするのであった。

...

つづく