419.小説『おれたち、鶴咲サンクス!』第9話 おれのgrandpa、爺さん。♪『考慮橋エレジー』
2023/10/10
※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。
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羅門譲は、鶴咲の繁華街・考慮橋を歩いている。
(~♪)
昼の考慮橋では、ご高齢の方々によるカラオケの歌声がよく聞こえる。曲調は、昔ながらの歌謡曲や流行歌といわれるものが中心だ。
「(歌ってストレス発散、good、いいじゃないか。)」
考慮橋は、今から50年以上前に『考慮橋エレジー』という歌謡曲が大ヒットしてから全国に名前が知られるようになった地区だ。鶴咲一郎という芸名で活動していた歌手が初めて自分で作詞作曲も手掛けた楽曲だ。
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考慮橋エレジー
作詞:鶴咲一郎
作曲:鶴咲一郎
- あなたを好きに なったのは
- 忘れられぬ 考慮橋
- ここを歩くと いつまでも
- 想い出たちが よみがえる
- あゝ どうしてますか
- あの笑顔 あの声が
- わたしの心を 見つめてる
- 考慮橋エレジー
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『考慮橋エレジー』を歌う高齢女性の声が聞こえる。かなり前の時代の楽曲なので、羅門はこの楽曲を知らない。世代的にしょうがない。
「よぅ、譲じゃないか!」
「おお、grandpa、爺さん!」
羅門に声をかけたのは、羅門の祖父で浩や亮の父親にあたる、羅門勇吉だ。もちろん赤ちゃんの頃から羅門を知っているわけだが、ニューヨークから再び鶴咲に来た羅門を度々かわいがっている。
「Grandpa、爺さん、today、今日のファッションも、決まっているじゃないか!」
勇吉は主に青春を過ごした時期である1950年代のアメリカのカントリー・ミュージックやロカビリー、ロックンロールを好む。ファッションも往年のアメリカファッションを参考にしている。今日はデニムジャケットとジーンズのセットアップに、黒のカウボーイハットが特徴的だ。
「ありがとうよ、譲。譲のほうがアメリカにハマるとは、譲が生まれた時には想像つかなかったよ。まぁ実際に住んでたからな譲は。」
勇吉も譲がアメリカにいた頃は何度か訪問したことがあるが、住んだことはない。
「せっかく考慮橋に来たんだ、俺の店に寄っといで!」
「Okay、そうだな。お邪魔するよgrandpa、爺さん。」
こうして羅門は、勇吉の店に行くのであった。
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つづく
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