401.小説『おれたち、鶴咲サンクス!』第1話 おれは、鶴咲出身の羅門譲。
2023/10/02
※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。
※こちらの物語は小説『ありがと~い!』の続編的位置づけとなります。こちらから読んでも楽しめますが、よろしければ『ありがと~い!』もご覧ください。
...
羅門譲は、鶴咲大学の学生だ。文学部の2年だ。
羅門は、最近知り合った法学部2年の大井誠という学生と意気投合し、自身がリーダーとフロントマンを務めるロックバンドに勧誘した。
大井がベース担当としてバンドに加入し、新しいバンド名は『鶴咲サンクス』に決まった。羅門が独断で決めたバンド名だが、メンバーも納得したようだ。
...
「それにしてもこのband name、バンド名は語呂がいいな。」
羅門は鶴咲大学がある鶴咲出身だがアメリカで生活していた時期が長いこともあり、このように英語を交えて話すことがある。服装も黒革のダブルライダースジャケットの中に白のTシャツ、そして青のジーンズを基本としており、アメリカ文化の影響が強い。
「オレの口癖から名付けてくれて、ありがと~い!」
この「ありがと~い!」という言葉が口癖なのが、大井誠だ。イギリスの文化である「Oi!」を知り、自身の苗字に似ていることもあり影響を受けている。
大井は、髪型もOi!の影響を受けて坊主頭にしている。
...
「アタシは、すっかりこのバンド名に慣れてきましたよ!」
この女性は、教育学部1年の紅一点・浦西杏菜だ。学年は羅門や大井の一つ下だが、2年浪人したため年齢は一つ上だ。だが、学年は先輩の羅門たちには敬語で話している。鶴咲サンクスでは、ギター担当だ。
「Oi!Oi!Oi!浦西サン、今日はこの格好か~い!?」
大井は驚いた。浦西はバンド活動の時には「ROCK'N'ROLL」と書かれたTシャツに、ダメージジーンズを基本としたファッションだが、今日は普段着である水玉模様のワンピースを着ている。
「たまには普段着でもいいかな、って思いました!」
「鶴咲サンクスにドレスコードはない。みんな、好きな服装でenjoy、楽しんでくれ。」
「羅門さん、ありがとうございます!」
...
「それじゃあ、始めましょうか!」
こう提案したのは、羅門たちが所属する音楽サークルの顧問兼鶴咲サンクスのドラム担当の吉野常幸教授だ。工学部に所属している。
吉野教授は、いつもグレーのスーツ姿だ。還暦あたりの年齢で、実は過去にドラマーとしてメジャーデビューを経験したことがあるそうだ。白髪交じりの短髪で、今日は丸眼鏡をかけている。
「ヨッシー、今日はglasses、眼鏡か。いいじゃないか。」
羅門は、吉野教授をヨッシーと呼んでいる。
「Oi!Oi!Oi!吉野サン、丸眼鏡かけるともっと紳士的で、激しいドラムプレイが想像つかないぞ~い!」
大井はさすがにヨッシー呼びはできないようだ。
「ヨッシーさん、やっぱり紳士ですね!」
浦西はヨッシーさんと呼ばせてもらっている。
...
「それじゃ、鶴咲サンクス、今日もlet's begin、はじめよう!」
「「「鶴咲サンクス!!!」」」
リーダーの羅門の号令とともに、今日のバンド活動がはじまった。
...
つづく
- ...
-
「小説・物語」カテゴリの記事一覧
- ...
-
『おれたち、鶴咲サンクス!』 各話一覧
-
次の話へ
- ...
-
前の記事へ
-
ブログのトップへ戻る
-
次の記事へ