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322.小説『ありがと~い!』第71話 Ti ringraziOi! Succo d'arancia rossa!(ブラッドオレンジジュースに、ありがと~い!)

2023/09/01

※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。

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大井誠は、イタリアのヴェネツィアにあるピザ屋『Pizzeria Casanova』で、道を尋ねて知り合った現地の日本語を学ぶ学生・マルコくんとピザを食べている。

「BuonOi! BuonOi! BuonOi!(お~いしい!お~いしい!お~いしい!)」

「Buonissima!(とてもおいしい!)」

「BuonissimOi!(とてもお~いしい!)」

「誠さん、BuonissimAi!と言ってみませんか?」

「いや、オレは文法的に誤りでも、BuonissimOi!が好きだぞ~い!」

大井がたまたま声をかけたマルコくんだが、既にこういう会話を繰り広げられるほど打ち解けたようだ。

「コックコーラって、やっぱりイタリアでも人気あるのか~い?」

「人気ありますね。こういったピッツァのお店では定番の飲み物ですよ。でも私は、オレンジジュースのほうが好きですね。」

大井は『コック・コーラ』を、マルコくんはオレンジジュースを飲んでいる。

「でも私は、さらに赤いオレンジジュースのほうが好きですけどね。ここには置いてないようです。」

「赤いオレンジ・・・ブラッドオレンジのことか~い?」

「日本語ではそう言うんですね。オレンジがアランチャ(Arancia)、赤いが「Rossa」ですから、赤いオレンジと言っちゃいました。」

「英語がBlood orangeなんで、そこから来てるぞ~い!」

「そうなんですね、教えてくれてありがとうございます。」

「Ecco, servizio.(これ、サービスね。)」

「うわぁ、ブラッドオレンジジュースだぞ~い!置いてたのか~い!」

30代くらいの男性店員の方が、会話を聞いていたのかサービスをしてくれた。

(しばらく、マルコくんと店員がイタリア語で話しているが、大井のイタリア語力では聞き取れない。)

「どうやら、明日からブラッドオレンジジュースを販売するようになったらしいですけど、特別にサービスしてくれたようです。」

「それはありがた~い!オレも、いつものオレンジジュースも好きダケド、ブラッドオレンジジュースも苦味があって好きだぞ~い!」

「Ti ringraziOi! Succo d'arancia rossa!(ありがと~い!ブラッドオレンジジュースだ~!)」

こうして、大井とマルコくんはピザを食べ終えたので、ブラッドオレンジジュースとともに引き続き会話をするのであった。

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つづく