317.小説『ありがと~い!』第69話 Ti ringraziOi! a Marco. (マルコクンに、ありがと~い!)
2023/08/30
※こちらのカテゴリでは自由な物語を書いていきます。こちらのカテゴリに書いてあることは基本的にフィクションです。登場する人名・地名・商品名などの名称は例外を除き架空のものです。
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大井誠は、イタリアにある水の都・ヴェネツィアの街並みを歩いている。車すら通れないその街並みは、数百年間変わらない外見の建物も相まってまるで大昔にタイムスリップしたかのようだ。
「あれ?なんでオレ、ヴェネツィアにいるんだっけ?まぁいいや。」
またしても何も知らない大井誠である。
大井誠は今、サンタ・ルチーア駅の前にいる。ヴェネツィアの陸の玄関口だ、ヴェネツィアは島なので、イタリア本土と長い橋で繋がっている。
「イタリア語の授業受けておいてよかったぞ~い!」
大井が通っている鶴咲大学では、イタリア語の授業も開講されている。語学に興味がある大井は、選択科目で語学系の授業を積極的に受講した。
「せっかくヴェネツィアにいるから、サン・マルコ広場に行きたいぞ~い!」
大井は、イタリア語の授業教材で登場したサン・マルコ広場にぜひ行きたいと思っていた。
「よし、道を尋ねてみるぞ~い!」
大井は、自らと同じ二十歳くらいの男性に道を訪ねた。
「CiaOi! Scusa. Dov'è Piazza San Marco?(あの、すみません。サン・マルコ広場はどこですか?)」
また大井の独自の挨拶が炸裂だ。CiaOi!とは、イタリア語の出会いと別れの際に使われる挨拶であるCiao!(チャオ)とOi!を混ぜた造語だ。
イタリア語は「o」で終わる単語がOi!もとい、多いため、大井は勝手に語尾のoをOi!にしている。
「Ciao! È un accento interessante! Seguimi!(やぁ、面白いアクセントだね!僕に着いてきてよ!)」
大井の語尾の「o」を「Oi!」にする独自のアクセントを気に入ってくれたようだ。広場まで案内してくれるようだ。
「Grazie! Come ti chiami?(ありがとう!名前は何かな?)」
「Mi chiamo Marco. E tu?(僕はマルコ。君は?)」
「Mi chiamOi! Makoto!(オレは、誠だぞ~い!)」
この男性は、マルコという名前のようだ。イタリア人男性によくある名前だ。サン・マルコ広場の名前の由来になった人物も、マルコだ。
「Sono studente qui.(僕はここの学生なんだよ。)」
マルコくんは、学生としてヴェネツィアに住んでいるため、この迷路のように入り組んだ街並みにも慣れているようだ。
「Ti ringraziOi! Marco!(マルコクン、ありがと~い!)」
イタリア語で「ありがとう」と言えば「Grazie(グラッツィエ)」という単語が最もよく使われる。しかし、「Ti ringrazio(ティ リングラツィオ)」という言い回しもある。大井はOi!を使いたいため、こちらの表現をよく好んでいるのだ。
こうして、大井はマルコくんに着いていって、サン・マルコ広場を目指すのであった。
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つづく
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