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47.市川拓司原作ドラマ『私小説』感想【僕は発達でも、前向きに生きていく。特別編】

2023/04/09

※この記事での私の特徴は自閉スペクトラム症(ASD)や発達性協調運動症(DCD)当事者の特徴のうちの、ほんの一例です。全ての神経発達症(発達障害)当事者に当てはまるわけではなく、特徴は十人十色だということをご理解いただけると幸いです。また、このシリーズにおけるとは、が得意なことや強み、が苦手なことや困難を感じること、という意味合いで用いています。

(2024年6月4日追記)2024年5月11日に私が実施した講演会の動画がアップロードされております。よろしければこちらも合わせてご覧くださいませ。

こちらの講演会の資料など詳細は、こちらの記事をご覧ください。

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私は映画やドラマを観て、人間模様を知ることが好きです。今回は、特別編と題してドラマの感想を書こうと思います。

4月7日・8日の2夜連続で放映された、『私小説』というドラマです。

※作品についてのことを書きますので、これからご覧になる方で、ネタバレを知りたくない方はここで一旦お止まりいただけると幸いです。

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映画化もされたベストセラー小説『いま、会いにゆきます』などで知られる小説家・市川拓司の著書『私小説』を原作としたドラマです。

この方は、自閉スペクトラム症(ASD)の診断を受けたことを公表しており、当事者としてメディアに出演することもあります。私も、『ぼくが発達障害だからできたこと』というこの方が書いたエッセイを読んだことがありますが、私と似ているところがあり、しかし異なるところも多くあり、同じ当事者でも十人十色だということを改めて知ることができました。

ドラマでは原作者の市川拓司がモデルとなっている伊佐山ジン(演:瀬戸康史)と、その妻がモデルとなっている・優美(演:上野樹里)の2人をメインに話が進みます。

ジンはとても繊細で、周りのネガティブな発言やネガティブなニュースなどの影響を受けやすく、気分が悪くなってしまう特徴があります。私もジンほどではありませんがこのような傾向があり、共感しました。私はテレビでネガティブなニュースが連続で流れると、心が連続でパンチを食らったかのように痛みます。しかし私は個人的にニュースを知ることは大事だと考えるため、全くニュースを観ないわけではありませんが、ネガティブなニュースだけに触れていると気分が悪くなりますので、良いニュースや面白い番組も観ることにより、自分の中でうまく中和させています。

また、ジンは3人以上での会話が苦手とのことですが、私もこれには激しく共感します。2人での1対1の会話にはある程度対応できるのですが、3人以上になると、どこで発言すれば良いかわからない、または会話が速すぎてついていけないことが理由で、会話に参加することが難しいことがよくあります。ほとんどの人々が自然に身につけていく3人以上での会話の能力が、私にはうまく備わらないのです。

作中に、ジンがかつて職場にうまく適応できずにつらい思いをするシーンがあるのですが、似たような特性を持つ私がその場に置かれても同じような場面になりうることを想像できるため、胸を締め付けられるようでした。

ジンは旅行に行くことに大きな困難がありますが、私はこちらは特に問題なく、約1年間のイタリア留学もすることができました。これは私と決定的に違う点です。

このように、私とジンの似ているところと異なるところを考えながら、視聴していきました。

ジンは、その妻である優美の存在が大きな支えとなっています。いつも自分に献身的な優美に対して、それが重荷になっていないかを気遣うジンの場面には、2人の複雑な気持ちを思うと言葉では表現しにくい気持ちになりました。素晴らしい妻に出会えてよかったと思います。

作中でジンは、学生時代に優美と知り合いますが、現実でも、作者の市川拓司は妻となった女性と学生時代に知り合ったそうです。良い出会いがあって本当に良かったと思います。

私も、いつも私を応援してくれる母をはじめとする周りの人々の支えがあったからこそ今まで生きていくことができました。このように、支えてくれる人々の存在の大事さを改めて感じることができたことも、このドラマを観て良かった理由の1つと言えるでしょう。

本記事でこのドラマに興味を持った方は、こちらのTVerというサイトにてぜひご覧ください。TVerでの配信は期間限定です。

テレビ局が公式に番組をインターネット上にアップロードし、視聴者は無料で視聴することができるTVerというサービスの登場は、私たちのテレビ視聴習慣に革新をもたらしたと言えるでしょう。地域によってはテレビでは観ることができない番組を観ることができるのも素晴らしいです。ちなみに私も、TVerでこの作品を視聴いたしました。好きな時間に気軽に観ることができるのが良いですね。

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このドラマでは、葉っぱ切り絵作家・リトの作品が使用されました。このリトという方も、注意欠如・多動症(ADHD)の診断を受けたことを公表しています。以前『情熱大陸』というテレビ番組に出演していたのを拝見して知った方です。

この方も、自身の特性もあり職場でうまくいかず、退職して引きこもり生活を送ったこともあったそうです。しかし、その抜群の集中力と感性を活かし、現在は葉っぱ切り絵作家として素晴らしい活躍をしています。ドラマ内で使用された作品も、綺麗でした。

このようにの特性を抱えて生きづらさを感じている方々でも、このようにご活躍されている方々を拝見すると、私も頑張ろうと思えてきます。将来的には私も、彼らのように人々に希望を与える存在になります。