1706.DCDと、体育の授業。【連載 転んでも、また起きる。 ~DCだるまが教える「5%の不器用さん」たちの話~ 第3回】
2025/12/30
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連載『転んでも、また起きる。 ~DCだるまが教える「5%の不器用さん」たちの話~』
この度、私も診断を受けている特性・DCD(発達性協調運動症)を広く知ってもらうために新たに連載を始めることといたしました。
DCD(発達性協調運動症)とは
DCDは様々な運動を組み合わせて行う、いわゆる「協調運動」に困難を感じる特性です。
上にある画像の左下でもDCD当事者の具体例が老若男女様々な人々によって示されております。
「包丁で料理をする」「手書きで文字を書く」「駅の改札を通る」「服のボタンを開け閉めする」「靴ひもを結ぶ」「きれいに食べる」
こういった日常の些細な動作に著しく困難を感じて、生きづらさを抱える人々がいる現実があるのです。
タイトルにある『5%』とは、全体におけるDCDの傾向が認められる当事者の割合とされる数字です。
オリジナルキャラクター『DCだるま』と語る
DCDと「体育の授業」
それでは今回は、こちらのオリジナルキャラクター『DCだるま』(愛称・だるちゃん)と、DCDと「体育の授業」について話していきましょう。
DCD当事者の私は、幼い頃から体育の授業や運動会、体育祭などで本当に苦戦してきました。
周りと同じように身体をうまく動かしてスポーツを楽しむことが困難だったのです。
現在は自分一人で散歩に出かけるなど自分なりに運動を楽しむことができていますが、学校ではどうしても集団でのスポーツとなりますから、集団に合わせていくことが大変だったのです。
『集団行動』は私が最も嫌な四字熟語のうちの一つです。特に体育の授業で実施された集団行動は、周りに合わせていかなければならないので合わせようとしましたが・・・うまくいかず体育教師にひどく叱責されたこともあります。叱責した教師は私を覚えていないかもしれませんが、私はこうやってずっと覚えているほどつらい経験です。
『長縄大会』も大変でした。いわゆる「8の字跳び」で、リズムよく長縄の中に順番に入って跳んでいくのですが・・・うまく跳べずに毎年クラスで最も私が足を引っ張って、私がいたクラスは毎年優勝を逃しました。
他にも、ドッジボールのことについて語りだすと止まらないくらい嫌な思い出があります。
このように体育の授業で散々な思いをしてきた私は、いまだに体育の授業が夢に出てきます。時間割が体育だらけの体育祭直前の時間割が悪夢として出てくるのです。
「こんにちは、だるちゃん!今日は『DCDと体育の授業』について話そう!私のようなDCD当事者は、学校での体育の授業でうまくついていけずにつらかった当事者が少なくありません。DCDと体育の授業の関係について話してみて!」
やあ、こんにちは!うぅ…その話を聞いて、ぼく胸がギュッとなったよ。
大人になった今でも悪夢を見るなんて、本当につらかったんだね。先生に叱られたことや、クラスのみんなに申し訳ないって思った記憶、ずっと心に残っているんだね。キミはちっとも悪くないのに、本当に苦しかったよね。よしよし(なでなで)。
今日はキミのように、体育の授業で涙を飲んできたDCDの仲間たちが、なぜそんなに苦労してしまうのか、一緒に紐解いていこう。
「集団行動」や「長縄」が地獄に感じる理由
キミが一番嫌いな「集団行動」。これ、DCDのみんなにとって、実は一番高いハードルなんだ。みんなと動きを合わせる行進や演技は、手足の動きがどうしてもリズムに乗れなくて、集団の中で一人だけ目立っちゃうことが多いんだよ。わざとやってるわけじゃないのに、先生からは「ふざけてる」とか「やる気がない」って誤解されて叱られちゃう…キミが経験した通りだね。
それに「長縄大会」!これも本当につらいよね。縄に入るタイミング、ジャンプするタイミング、前の人との距離感…これらを一瞬で判断して動かなきゃいけないんだけど、DCDの特性があると、この「タイミングを合わせる」のがすっごく難しいんだ。だから、失敗してみんなに迷惑をかけてしまう自分を責めて、「運動嫌い」になっちゃう子がとっても多いんだよ。
体育の授業は「DCD泣かせ」!?
日本の体育って、鉄棒の逆上がりや跳び箱みたいに、体のバランスと力を瞬時にコントロールする動きが多いでしょ?これらはDCDの人が一番苦手とする動きなんだ。ドッジボールも、ボールを目で追って、避けるか取るか瞬時に判断して体を動かす…まさにマルチタスクの極みだよね。
それなのに、学校の先生たちはDCDのことをよく知らないことが多いから、「練習すればできる!」って精神論で指導しがちなんだ。脳のタイプのせいでできないのに、努力不足だって言われたら、そりゃあ心も折れちゃうし、トラウマにもなるよ。
自分なりの楽しみ方を見つけたキミはすごい!
でもね、そんなつらい経験をしたキミが、今は一人でお散歩を楽しんでいるって聞いて、ぼくはとっても嬉しいんだ!
誰かと比べたり、無理に合わせたりしなくていい。自分のペースで体を動かすことは、心にも体にもとっても良いことなんだよ。学校の体育がすべてじゃない。キミが見つけた「自分なりの運動の楽しみ方」、それが大正解だとぼくは思うよ!
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だるちゃん、いろいろ話してくれてありがとう!
「練習すればできる!」という精神論・・・。そんな「化石」のような教師が今もいるのでしょうね・・・。基本的には教員の皆さまには敬意を払いたいですが、こういった考え方の教師は残念ながら受け入れがたいです。
子どもの頃の私は真面目すぎて融通がきかない性格だったのですが、そんな私が体育の授業で「ふざけている」と思われていたのです。周りに合わせて動こうと思っても、どうしても動けなかったのです。
今はDCDという概念を知り、努力不足ではなく脳からの指令が筋肉にうまく伝わらない「脳のタイプ」の違いだと理解できますが、当時は「どうして周りと同じようにできないんだろう」と自分を責めてばかりで、自己肯定感をうまく育むことができませんでした。
今は自身の特性をある程度理解することに努めて、「他人は他人」、「自分は自分」と分けて考えられるようになってきました。
この記事をお読みになっている皆さまは、どうか周りと同じように動けない人がいても「努力不足」で片付けず、「DCDのような特性があるかもしれない」ということを頭の片隅に置いて考えていただけると幸いです。
DCD体験&学習アプリのご紹介
こちらの私が制作した『DCD体験&学習アプリ』では、DCD当事者の感覚を擬似的に体験することができます。
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DCだるま 公式サイトのご紹介
『DCだるま』の公式サイトも作ってみました。よろしければ、こちらからご覧くださいませ。
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お読みいただき、ありがとうございました。
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