1708.DCDと、車の運転。【連載 転んでも、また起きる。 ~DCだるまが教える「5%の不器用さん」たちの話~ 第4回】
2025/12/31
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連載『転んでも、また起きる。 ~DCだるまが教える「5%の不器用さん」たちの話~』
この度、私も診断を受けている特性・DCD(発達性協調運動症)を広く知ってもらうために新たに連載を始めることといたしました。
DCD(発達性協調運動症)とは
DCDは様々な運動を組み合わせて行う、いわゆる「協調運動」に困難を感じる特性です。
上にある画像の左下でもDCD当事者の具体例が老若男女様々な人々によって示されております。
「包丁で料理をする」「手書きで文字を書く」「駅の改札を通る」「服のボタンを開け閉めする」「靴ひもを結ぶ」「きれいに食べる」
こういった日常の些細な動作に著しく困難を感じて、生きづらさを抱える人々がいる現実があるのです。
タイトルにある『5%』とは、全体におけるDCDの傾向が認められる当事者の割合とされる数字です。
オリジナルキャラクター『DCだるま』と語る
DCDと「車の運転」
それでは今回は、こちらのオリジナルキャラクター『DCだるま』(愛称・だるちゃん)と、DCDと「車の運転」について話していきましょう。
DCD当事者の中には、「車の運転」が困難な人がいます。多くの人々が問題なく車を運転できる中、DCD当事者の私にとっては車の運転は簡単なことではありません。
車の運転には様々な複雑な動き(協調運動)が求められます。適切なタイミングにハンドルやアクセルやブレーキなどを操作しなければならない上に、周りにも気を使わなければなりません。私にとってはかなり高度な作業に思えるので、世間の多数派が問題なく車の運転ができる現実が不思議でたまりません。
かくいう私は、最初から車の運転を諦めたわけではありません。運転免許の取得に挑戦し、なんとか取得はできました。しかし免許取得後、様々な道を運転していかなければならないことに著しい困難を感じて現在はペーパードライバーと化しております。運転免許取得のための講習中は同じコースをグルグルと周ることである程度予測がつきましたが、免許取得後は様々なパターンの道をその時に推測していかなければなりません。私にとっては車を問題なく運転できる人々がスーパーマンのように見えるくらいすごいことをやっているなぁという感覚です。
DCD当事者が車を運転できない理由には様々なパターンがあると思いますが、私の場合は「他の車や歩行者に合わせる」ことが一番の理由です。様々な不規則な行動をする車や歩行者の行動に合わせて運転していかなければならないことが、私にとっては非常に高い難易度なのです。他に誰も歩行者や車がいない道であれば運転できるのですが・・・。そうはいかないのが現実です。
これほどまでに「なぜ私が車の運転がうまくできないのか」をこれだけ言語化できる能力がありながらも車の運転ができない。これが私の場合のDCDの特性なのです。つまり脳における言語ではない他の部分がうまく働いていないと言えることでしょう。
「こんにちは、だるちゃん!今日は『DCDと車の運転』について話そう!私のようなDCD当事者の中には、ほとんどの人ができるようになる『車の運転』が困難な人々がいます。私のようにペーパードライバーと化してしまう当事者や、そもそも運転免許を取得しようとする時点でうまくいかない当事者もいます。DCDによって、車の運転がどうして困難なのかを解説してみて!」
やあ、こんにちは!うんうん、「スーパーマンみたい」って感覚、すごくよく分かるよ。
世の中の多くの人が涼しい顔でやっているけれど、車の運転って、実はとんでもなく高度なことをやっているんだよね。キミが言う通り、ハンドルとアクセルとブレーキを操作しながら、同時に周りの安全も確認するなんて、まさに「マルチタスク」の極みだよ。
免許を取るだけでもすごいことなんだ。だから、まずはそこまで頑張った自分を「よくやった!」って褒めてあげてほしいな。
脳の指令室がパニック!?「協調運動」の壁
どうしてDCDだと運転が難しいのかというと、やっぱり「複数の動作を同時に行う」ことが苦手だからなんだ。手でハンドル、足でペダル、目は信号や標識…これらを一瞬で統合して体を動かすのは、DCDの脳にとっては本当に大変な作業なんだよ。
教習所の中なら「次は右」って決まっているから予測できるけど、実際の道路は「予測不能」の連続だよね。キミが感じた「歩行者や他の車に合わせる」難しさ、これはまさにDCDの特性と関係しているんだ。周りの動きを見て、瞬時に判断して、体を動かす。この処理速度が追いつかなくて、恐怖を感じてしまう当事者はとっても多いんだよ。
「説明できるのに、できない」もDCDあるある
キミが言った「なぜできないかを言語化できる能力があるのに、運転はできない」っていう話、すごく重要だよ。これこそが、まさに「凸凹(デコボコ)」なんだ。
言葉を司る脳のエリア(凸)はすごく優秀に働いているけれど、運動や空間認知を司るエリア(凹)がうまく働いていない。このギャップこそがDCDの特徴であり、キミ自身の個性でもあるんだ。頭では分かっているのに体がついてこない…そのもどかしさは、本当に辛いよね。
でもね、無理をして事故を起こすよりも、「自分は運転に向いていない」と判断してペーパードライバーでいることは、とっても勇気ある賢い選択だとぼくは思うよ。免許証は、キミが「あの難しい教習を乗り越えた証」として、誇りに思っていていいんだからね!
だるちゃん、いろいろ話してくれてありがとう!
元々体育の授業が極端にうまくできなかったこともあり、「自分は車の運転には向いていない」という自覚はあったのですが、大学生だった頃に周りの学生がどんどん免許を取得していき、「山田は免許取ったのか?」という話題にもよくなりました。やはり取得したほうがいいのか・・・?と思い自動車学校に通い取得はできましたが、現在はペーパードライバーです。
『DCだるま』が言うように無理して事故を起こすよりもペーパードライバーでいたほうが良いと言うことですね。運転免許の取得はできましたから、緊急時などいざというときはかなり慎重な運転にはなりますが運転はできますからね。ですが普段はこれからも運転しないことでしょう。
一般的に30代の私より大幅に認知能力が減少してくる80代以上のご年配の皆さまでも車の運転をしているのに、なんで自分にできないのか、とかつては思い悩んでいた時もありましたが、DCDという特性を知った今は「脳の特性」が理由だと納得し、そんな車の運転をうまくできない自分を受け入れています。
DCD体験&学習アプリのご紹介
こちらの私が制作した『DCD体験&学習アプリ』では、DCD当事者の感覚を擬似的に体験することができます。
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DCだるま 公式サイトのご紹介
『DCだるま』の公式サイトも作ってみました。よろしければ、こちらからご覧くださいませ。
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