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1349.【名作文学紹介】新美南吉『手袋を買いに』

2025/04/18

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※本記事は文学作品に対する個人的考察の記事です。作品に対する解釈は人それぞれであり、私の解釈が正しいものとは限りません。一意見としてご覧いただけると幸いです。

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名作文学紹介

新美南吉『手袋を買いに』

今回は、『ごんぎつね』などでも知られる児童文学作家の新美南吉の童話『手袋を買いに』をご紹介いたします。

こちらは小学校の国語の教科書にも掲載されていた作品ですので、おなじみの方もいらっしゃることでしょう。

新美南吉作品は既に著作権が消滅しておりますので、例えばこちらの青空文庫などで無料で、自由に全文を読むことができます。よろしければご覧くださいませ。

私がYouTubeで朗読したものもございます。よろしければこちらで耳からも名作『手袋を買いに』をお楽しみくださいませ。

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簡単なあらすじ

寒い冬を舞台に、雪が降る森の中で母親と暮らす子狐が、手が冷たいので人間が住む町へ手袋を買いに行く話です。

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『手袋を買いに』の魅力

『手袋を買いに』は子狐が暖かい手袋を町へ買いに行って冷たい手が暖かくなる話なのですが、その間のお母さん狐や町にいる手袋を売る帽子屋さんの人間とのやり取りに心温まるものがあり、凄まじい「癒やし効果」を持つ作品です。

他の新美南吉作品にも通ずる「やさしい」雰囲気がこの『手袋を買いに』では特に満ち溢れており、実際の南吉がどういう人物だったかは推測するしかありませんが、心がきれいな方だったのかな、と思わせられます。

とはいえ、一番最後にお母さん狐が、「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら」とつぶやいていることからは考えさせられるものもあります。

もちろん作中の帽子屋さんのように親切な人間もいることは事実なのですが、中盤にお母さん狐が「人間はね、相手が狐だと解ると、手袋を売ってくれないんだよ、それどころか、掴まえて檻の中へ入れちゃうんだよ、人間ってほんとに恐いものなんだよ」とも発言しており、恐い人間もいる現実が描写されております。

同じ人間でも、「いろいろな人がいる」ことが作中でもこのように言及されております。心温まるお話だけでは終わらないことも、『手袋を買いに』の魅力です。

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愛知県半田市にある新美南吉記念館の近くにある『手袋を買いに』の石碑

新美南吉の故郷・愛知県半田市には新美南吉記念館があります。愛知県を訪れることがあったらぜひとも訪れたい場所の一つです。

この記念館のすぐ近くには、こちらの地図のように『手袋を買いに』の石碑もあるそうです。殊に冬の季節に訪れると雰囲気がありそうですね。

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名作を世界に!『手袋を買いに』の英訳

”Buying Mittens”のタイトルで『手袋を買いに』を英訳したものも、青空文庫にございます。大久保ゆう氏による英訳で、こちらのリンクから読むことができます。

こちらの英訳もYouTubeで朗読させていただきました。新美南吉作品はきっと、世界の人々にも通ずる人間が持つ普遍的な感性を刺激するものがありますから、世界中の多くの人々にその作品を知ってもらえると私も嬉しく思います。

※この翻訳は著作権が存続しており、「クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 4.0 国際 ライセンス」の下で公開されていますので、これに従って将来的にこの動画を収益化するつもりはありませんが、YouTube側の仕様で広告が流れることがございます。ご了承くださいませ。

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今回は、新美南吉の名作童話『手袋を買いに』をご紹介いたしました。暖かそうな手袋を見ると、このお話を思い出すくらい私にとってはお気に入りのお話です。

お読みいただき、ありがとうございました。