1309.【小説】或除者の独白 幼少期編 第30話
2025/03/30
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或除者の独白
幼少期編
第30話
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・・・真田は、約100人ほどの聴衆の前で自分が話すべきことを話した。
「真田さん、ありがとうございます。それでは、これから質疑応答に移りたいと思います。真田さんに何かお尋ねしたいことがある方は、挙手をお願いいたします。ご発言の際は、お名前をお願いいたします。」
今回の講演の司会をしている50代くらいの男性の方が、この会を進行する。
「それではそちらの方、どうぞ。」
「◯◯市職員の高橋と申します。本日は貴重なお話を誠にありがとうございました。」
真田は、その後の質問に答えた。
「かつての真田さんと同じように・・・学校に馴染めていない子どもを持つ保護者の黒山です。真田さんのお話に共感できる部分も多くありました。ありがとうございました。」
真田は、その後の質問に答えた。
「事件」が起こったのはその次の質問者である。
「それでは次の方・・・そちらの男性の方、どうぞ。」
その男は、紺色の背広を着た青年である。笑顔が爽やかで、一見好印象である。どこかで見たことがある面影があるが、誰かは思い出せない。
「◯◯小学校で教員をしている者です。」
男は、名を名乗らなかった。真田はそのことが気になったが、その後の話を聞いていく。
「率直に申し上げますと・・・真田さんのお話はよくわかりませんでした。一体何が言いたいのでしょうか。小学校にはいろいろな児童がいます。私たちはその対応に追われています。そんなかつての真田さんのような、クラスに馴染めていない子にまでかまっている余裕なんて今の教員にはないのですよ。」
これは驚きである。ここまでの反論をされると、却って潔い。確かに学校教員は激務ということはよく知られていることであるが、ここまでのことを言われるとは、真田は驚愕した。
「真田さんは、一体私たちに何をしてほしいのですか?」
この男は、挑発的に真田にそう質問した。
「・・・、ご質問ありがとうございます。」
数秒の沈黙の後、真田は笑顔でお礼を言った。
「まずは・・・よろしければお名前をお尋ねしたいのですが。」
真田は男が名乗らなかったのが気になったので名前を尋ねた。
男は不敵な笑みを浮かべてこう答えた。
「・・・・・・、」
「寺石です。」
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つづく
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