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1303.【小説】或除者の独白 幼少期編 第27話

2025/03/27

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或除者あるのけものの独白

幼少期編

第27話

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改めて、幼少期の私にどんな言葉を投げかけたいかを申しますと・・・。

例えば、「君は君のままで大丈夫」という言葉を思いつきました。

当時の私は学校にうまく馴染むことができず、子どもながら強い孤独感に苛まれていました。人と関わりたい気持ちはあったのですが、その方法がわかりませんでした。

それに加えて、「得体のしれない恥ずかしさ」があり、例えば自分の好きなもの・ことをうまく話せませんでしたし、感情も豊かではありませんでした。

周りの子から見ると、私はほぼ無表情でほとんど会話をしない、奇妙な子だと思われたかもしれません。ただ、こんな当時の私でさえ、人と関わって仲良くしたいという気持ちがあり、人を避けていたわけではないのです。そう見えたかもしれませんが、そうではないのです。

この話はこれまでも何回も申し上げましたので聞き飽きたかもしれませんが、それくらい強調したい話です。人間は、本能的に「人と関わりたい」という気持ちがあります。

「人と関わるのが嫌い」と人を避けている方でも、例えば仮に1ヶ月間、独居房のようなところに入れられて完全に人と関わらなかったらどうなることでしょう。平気な人も・・・中には居るかもしれませんがほとんどの人は頭がおかしくなってくることでしょう。それくらい、人間という生き物は本能的に他者との関わりを求めるものなのです。

ですから・・・、当時の私はうまく人と関われない、だけども人と関わりたいという気持ちに悩んでおりました。周りからは、そうは見えてなかったかもしれませんが。

とはいえ、そんな幼少期だった私でも今ではある程度人と関われるようにもなってきましたし、こうやって皆さまの前で自身の体験についてお話しする機会にも恵まれました。

学校に馴染めず、このままでいいのだろうかと将来のことが心配でたまらなかった私ですが、なんとかなるのです。今のどっしりと構えている落ちついた雰囲気に見える私からは想像できないかもしれませんが、かつての私は怖がりで、臆病で、すぐ不安に思うようなタイプの人間でした。その後紆余曲折あって前向きに考えることができるようになりました。

可能であれば、過去の自分に連絡をしてみたいものですね。現在の私は、過去の自分からは想像もつかないほど成長できているのですから。

とはいえ・・・、今ですら人と関わる能力は平均よりはないことでしょう。これからも自分を過信せずに、謙虚にいろいろなことをいろいろな人から学んでいければと思います。

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つづく

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