1292.【小説】或除者の独白 幼少期編 第22話
2025/03/22
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或除者の独白
幼少期編
第22話
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殊に幼少期に、私は力加減をうまく調節できませんでした。
絵を描く授業で、鉛筆や筆をうまく扱えませんでしたね。
鉛筆を折った回数ではなかなか良い記録を持っているかもしれません。それくらい、力を入れすぎて描いてしまいました。
よく鉛筆を折ってしまうくらいですから、細かい絵が描けませんでした。既にお話しした、仕方なく入った漫画クラブでの絵もそれはそれはお粗末なものでした。その絵を「味がある」と言ってくれる方もいるかもしれませんが。
鉛筆は、絵を描くためだけに用いられるわけではありません。国語や算数をはじめとする普段の授業でも用います。もちろんその際も・・・人より多く鉛筆を折っていましたね。この当時の私を「ザ・ペンシルブレイカー」とでも名付けてみます。
そして、筆ですが・・・、鉛筆より更に扱いが難しいものでしたね。力加減で描けるものがだいぶ変わってきますから。
「おい真田!なんだその絵、潰れてしまってるじゃないか!」
おい真田、から皆さまお察しの通り、寺石くんです。私の絵もいろいろとイジってきましたね。
魚か何かの絵を描いていましたが、筆をうまく扱えずに潰れてしまい、魚とは判別しにくい形となってしまいました。一方、寺石くんは絵心満点でした。躍動感のある動物たちの絵をスラスラと描いていました。自分の絵を描き終わって暇なので、こうやって私をイジりにきたのです。
「・・・。」
「こんなの簡単じゃないかよ!」
寺石くんにとっては簡単に描けるのかもしれませんが、私にとっては簡単ではないのです。
他にも図画工作、いわゆる「図工」の授業ではいろいろなものを作る授業もありましたが・・・、手先が極端に不器用なこともありうまくできませんでした。はさみで切りすぎてしまったり、釘が幾度となく曲がったり・・・。寺石くんをはじめとする、器用に素早くいろいろとできる人たちを羨ましく思っておりました。
しかし現在の私は、むやみに他人と比較しません。私に不得意なことがあっても、それを含めて私だと受け入れることができています。
ただ、子どもの頃にここまで考えることは難しいですよね・・・。どうか、保護者をはじめとした周りの皆さまには、かつての私のような子がいても温かく見守っていただけるとありがたいです。周りの子と比較して塞ぎ込んでいることがあったら、その必要はないことを伝えていただけるとありがたいです。力加減がうまくいかなくても、それがその子の個性なのですから。
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つづく
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