1271.【小説】或除者の独白 幼少期編 第12話
2025/03/12
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或除者の独白
幼少期編
第12話
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私は先にも繰り返し述べているように体育の授業との相性が全く良くありませんでした。
他にも、図画工作(図工)、美術、技術、家庭科、書道などの教科でも思うように手を動かすことができませんでした。いわゆる「技能教科」のほとんどがうまくいかなかったのです。
しかし音楽の授業は全く苦ではなく、むしろ楽しい時間でした。技能教科の中でも音楽は本当に例外です。
普段は口数が少ない私でも、「歌う」となれば問題なく歌うことができました。歌うことを「恥ずかしい」とはそれほど思わなかったことを記憶しております。
「ゆうや〜けこやけ〜の〜あかと〜ん〜ぼ〜♪」
私は恥ずかしがることなく、大きな声で楽しくいろいろな歌を歌っていました。
「おい真田!歌う時は声が大きいんだなぁ!」
寺石くんがやはりいつものように私にツッコミを入れました。
「・・・・・・・。」
話すとなると、「得体のしれない恥ずかしさ」が発動してやはりうまく話せませんでした。
「おもしろいやつ。」
当時は寺石くんにいろいろ言われて不愉快な気持ちがありました。しかし今思い返すと、寺石くんは悪気はなく、親しみを込めて私にも話しかけていてくれたのかな、とも思うことができます。今現在寺石くんと関わりがあるわけではありませんので、当時寺石くんがどう考えていたかは今となってはわかりませんが。
・・・音楽の授業では、歌だけでなく楽器を演奏することも楽しく、苦ではありませんでした。
私は極端に不器用でスポーツは不得意ですし、絵を描くにもペンや筆をうまく動かせずに教科書通りには描けません。折り紙もうまく折れません。
しかし、鍵盤ハーモニカやリコーダーなどの楽器を演奏することはそれほどきついとは思いませんでした。学校は楽しいとはあまり思えませんでしたが、音楽の時間は比較的楽しい時間でした。必修の授業に加えて選択して追加で授業を受けられる際は、積極的に音楽を受講していました。
それでは私がなぜ他の技能教科は不得意でも音楽における楽器の演奏は問題なかったのか自己分析してみました。
楽器は、どう操作すればどう音が鳴るかが「決まって」います。楽器は、人間の操作に忠実に動きます。私はパソコンやスマートフォンなどの電子機器の操作も比較的できるほうなのですが、これらの電子機器も人間の操作に忠実です。動き方は規則的です。
一方、球技におけるボールの動きは実に不規則ですし、絵を描く上でのペンや筆の動き方も無限にあります。折り紙の折れ具合も無数ですね。こういった不規則に動くものへの対応が不得意なのです。
少しばかり、自己分析してみました。音楽は今も趣味として楽しんでおり、ギターやウクレレで弾き語りを楽しんでおります。最近はハーモニカも始めてみました。今でも音楽は、楽しいです。
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つづく
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